10.彼の秘密 ページ11
｢嘘ついてない！ほんとに違うからね！ほんとに！｣
｢はいはいそんなに好きなんだねえ｣
｢だから違うから！｣
私の話、なあんも聞いてくれない。
勝手に私がめいちゃんを好きってことにして、そうかそうかーって楽しんでる。ああもう。
｢それより！今日はなるせくんの話でしょ｣
｢あ｣
｢ね、誰にも言えない秘密、ってなに？｣
｢……えーと、｣
なるせくんの眉が、困ったみたいに八の字になる。
潤んだ目。きゅるるんてしてて可愛い。ちゃんと見たら、意外と濃い顔してて。めちゃめちゃメイク映えしそう。
｢誰にも言えないっていうか、あらきさんとめいちゃんだけ知ってるんだけど。俺の秘密｣
｢へえ｣
｢俺、ラップ好きなんだよね｣
｢……ん？｣
それが、秘密？
それだけ？って、少し拍子抜け。
そしたら、なるせくんが驚かないの？なんてそっちがびっくりしたみたいに言った。
｢別に……好きな人も結構いるよね｣
｢自分で作ったり、録音して投稿したりもしてる｣
｢え、すごい！｣
｢は？｣
｢どこで投稿してるの？ユーチューブ？｣
｢いや……ニコニコ……｣
｢あ！私ニコニコ入れてるよ。アカウント教えて？｣
ふ、って笑ったら、なるせくんはぼーっとこっちを見つめてる。
ちょっと。アカウント教えてって言ってるのに。
そのまま声に出したら、やっとなるせくんがそれに気づいた。
慌ててスマホを取り出して、ぽちぽち操作してる。
しばらくして、その画面をこっちに見せた。
｢これ。nqrseっていう｣
｢これが？成瀬の、なるせ？｣
｢そうっす｣
｢なんでnqrse？naruseじゃないの？｣
｢そこはツッコまないで……｣
｢？わかった｣
リンクを送ってもらってプロフィールを見に行く。
ラップを投稿してます、読み方は"なるせ"です。って、書いてある。
ザーッと投稿画面を流し見。
いちばん初めの投稿は、Emotionalって言うみたい。なんとなく、音は流さずにタップする。
プロフィールの、｢処女作です｣って言葉にツボってる人が多くて、
その言い方は普通だよー！って声に出そうになった。
語源は英語。英語で言えば「maiden work」。
はじめての、って意味もあるみたい。
わざわざコメントすることでもないから、なんだかもどかしい。
だけど、勝手に下ネタ言ってる人みたいにされてるなるせくんが可哀想で、笑えてきた。
｢家に帰ったら聞いてみるね｣
そう言うと、これまたびっくりしたみたいになるせくんが目を見開いた。
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かとを74(プロフ) - 私 専用 誘拐犯の続編も気になりますし、正直この作品も素敵なのでっ続けてほしいです。 (4月5日 17時) (
レス) @page23 id: e7ab028975 (このIDを非表示/違反報告)
h - もし良ければこのお話を続けて頂きたいです (4月4日 2時) (レス) @page23 id: 721a3011a7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鏡花 | 作成日時：2024年2月10日 11時
