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塾で帰りが遅くなり、暗い夜道を歩いていると
アパートの入口付近でしゃがみこんでいる人がいた。
私がこれから家に帰るという帰り道にいられるのはちょっと困るし、何よりもこんな時間に外にいるなんて…
酔いつぶれてしまったのだろうか。
目の前を通り過ぎようとすると、
しゃがみこんでいた人が顔を上げた。
綺麗な顔が傷だらけだった。
目が合ったが…その目に光がなかった。
正直怖かった。
怖かったけど、ここで私が無視して家に帰るとこの人が死のうとするんじゃないかと思い思わず声をかけてしまった。
全ての物語はここから始まった。
『大丈夫、ですか』
「……………」
私が声をかけるとその人は黙ってフラフラとしながら立ち上がった。
そして、そのままアパートの中へ戻ろうとする。
その人の腕を掴む。
『酷い傷なので病院行った方がいいです』
そう話しかけるとその人は驚いた顔をした。
さっきまで死んでいるような目立ったのに。
アパートから女の人の悲鳴が聞こえてくる。
その瞬間、私が掴んでいた手が振りほどかれる。
「姉さんっ……」
『ちょっ、』
その人は走ってアパートの中へ入って行った。
ただ事ではない雰囲気に流石に私も焦る。
あの人が入って行った直ぐに、別の人が彼を追いかけるようにアパートの中へ入って行った。
女の人が泣き叫ぶ声。
男の人の怒鳴り叫ぶ声。
焦るように止める声。
この中で何が起こっているのかなんて
私は分からない。
ただひとつ分かるのは関わらないほうが良いということ。
ピロンっとスマホが鳴る。
ソクジン今どこにいる?家に帰った?
私はそのメッセージをみてまた歩き始める。
Aううん、まだ。もうすぐで着くよ。
そう入力して画面を閉じる。
先程のアパートとは違う私の家はいかにも高そうな家。
父と母はとても優しい。
とても恵まれた私。
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作者名：LUI | 作成日時：2023年2月26日 23時
