遠い花の香り (ページ43)

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そんな話をしながらエレベーターに向かった。

増田くんが上の矢印を押すとすぐに扉が開き、私を先に入らせた。

その後に増田くんが乗り込み、閉ボタンを押すと私の前に歩いてきた。

二階のボタンを押してないよ、と言おうとしたら、増田くんは両手を壁に付け私を見下ろした。

顔を上げれば近い距離に増田くんがいる。

恥ずかしくてうつむいたままどうすることもできないでいた。

増「今日のAちゃん、香水付けてるでしょ？すごくいい匂いだね」

増田くんのいつもより低めの声が頭の上に響く。

「……うん……祐子にもらったの」

どうしてこんな状況になっているのだろうか……

増「いつも祐子ちゃんの付けてるのだね……それに混じって小山の匂いもする……」

「えっ……？！」

思わずびっくりして顔を上げると、今にも唇が触れそうな距離感に顔が熱くなっていく。

増「小山と何かしてたの？」

「なっ……何もしてない……」

本当なら付き合う事になった……って言えればいいのに。

まだ増田くんには秘密なんでしょ？

増「それなら俺の匂いも付けていい……？」

「どういう意味……？」

気づくとお互いの唇が触れあっていた。

これは夢じゃなく現実。

夢の中同様に私は目を閉じて優しく触れる増田くんを受け入れた。

抵抗しない私に彼は何度もキスを繰り返していく。

正直、小山くんとした時よりもずっとドキドキする。

ふいに止まったままだったエレベーターが上昇を始め、私たちは体を離した。