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誰かの話し声が聞こえて目を開けると、先ほどまで小山くんといたリビングの風景が広がっていた。
私はソファーに横になったまま寝てしまったようで、目の前のテーブルにはお酒の缶がいくつか並んでいた。
そのテーブル越しに小山くんと祐子が肩を並べながら何か話しているのが分かった。
体を横にしたまま、ふとテレビの脇の棚の上に飾られた写真に目をやると、私が最初に見た時とは違うものになっているのに気づいた。
確か四人で写った写真があったはずなのに、そこにあるのは小山くんと祐子が二人並んで微笑んでいる物に変わっていた。
二人って付き合ってたんだっけ??
ぼんやりと考えていると、私の存在に気づかないのか目の前の二人はイチャつき始めた。
祐「ねぇ、慶ちゃん。祐子の事、どれくらい好き?」
小山くんの肩にもたれかかりながら、祐子は指先でツンツンと彼の腕を突っついている。
小「世界中で一番好きだよ」
そう言いながら小山くんは祐子の綺麗な髪をいとおしそうに撫でている。
祐「嬉しい!ほんとはね、慶ちゃんはAの事が好きなんじゃないかな?ってちょっと不安になってたの」
小「そんな事ないよ。俺が好きなのは祐子ちゃんだけだよ」
祐「それならチューして!」
祐子は目を瞑って小山くんの方を向いていた。
私は体が固まったまま動けず、その光景をただ傍観しているしかなかった。
二人が向き合って距離が近づいていく……
“バタン”とドアが閉まる音がすると、誰かが部屋に向かってくる足音がしてきた。
小「いい所だったのにね……」
祐「タイミング悪すぎ!」
そう言って小山くんと祐子は何もしないまま体を離した。
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作者名:ユズキ | 作成日時:2015年2月28日 0時