遠い花の香り (ページ28)

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28―小山side― ページ28

「そう！家の鍵！！手帳に挟まってたんだ！」

小「見つかって良かったね。でも、今日はもう遅いから泊まっていきなよ」

鍵が見つかったらもしかして帰っちゃうのかな？
せっかくだし今夜は一緒にいようよ。

「う～ん……そうさせてもらおうかな」

返ってきた返事に少し驚いた。
Aちゃんも俺と一緒にいたいって思ってくれてるんだ。

小「Aちゃん、急に素直になったね」

「そんな事ないよ！それより、日にち決めようよ！！」

照れ隠しなのかAちゃんは急いで手帳をテーブルの上に広げて見せた。

綺麗な字で打ち合わせや会議、その他の私用も細かく書かれている手帳。

俺たちは同じ部署なので、定時後の会議や打ち合わせはたいてい一緒になるし、増田もそれは同じで、その日を抜かした週末に絞りこんだ。

小「日にちの候補は決まったね。お店はどの辺にしようか？」

俺はケータイを取り出してお店の候補を探している。

「駅の近くがいいんじゃない？」

最寄りの駅名を入力し、条件を絞りこんでいくと“ワインバー”の文字に目を引かれた。

小「駅近で、個室がいいよね？……ワインバーがあるよ。確か祐子ちゃん、ワイン好きだよね？」

祐子ちゃんはお酒全般いけるが、中でもワインが好きだった。

「うん、好きだよ。みんなもお酒飲めるしいいんじゃない？」

小「でも、Aちゃんお酒苦手でしょ？」

全く飲めないわけじゃないけれど、よくジンジャーエール飲んでるから。

「ちょっと苦手だけど、大丈夫だよ！酔っても小山くんがいるし」

そうだよね。これからは俺がいるんだし。
二人でべろべろに酔っぱらっちゃったら困るけど(笑)

小「それなら酔わせても平気？(笑)じゃあ、お店はここにしようか。みんなにメールしておくよ」

俺は今ごろ彼氏のイチャイチャしてるかもしれない祐子ちゃんと上司に飲まされてそうとう酔ってると思われる増田に候補日とお店のメールを送信した。