27―小山side― ページ27
「小山くん…ズルいよ……私一人でドキドキしてる」
小「そんな事ないよ。俺だって、すごい緊張してるのに」
Aちゃんの声は緊張で少し震えていた。だから俺は彼女の手を取り、自分の左胸に持っていきそっと手を添える。
外まで聞こえてきそうな程、心臓の鼓動が高鳴っている。
「う〜ん……よくわかんないよ?それに、心臓って左?」
小「左じゃなかったっけ?!俺、ずっと勘違いしてたの?」
「そうじゃない?みんな右にあるよ」
この場の雰囲気を少しでも和まそうとしているのが分かる。
でも、いくら天然と言われている俺でも、それくらい知っているから。
小「Aちゃん、嘘ついてるでしょ?バレバレだよ(笑)」
「もう。今の小山くんには勝てそうにないよ!いつもそんなんじゃないじゃん!?」
小「いつも負けてばかりじゃないからね」
嘘ついたお仕置きだよ、そう思っていたずらな笑みを浮かべながら俺はもう一度Aちゃんをソファーに押し倒した。
「そうだ!祐子の結婚祝いの予定、立てようよ!!」
下であたふたしながらAちゃんが俺を見上げて言ってきた。
まだまだからかい足りない。
こうやってAちゃんの事を攻めていると楽しくて仕方ない。
小「後でもいいんじゃない?もっと他にする事が……」
今は正直、祐子ちゃんの話しなんてする気になれなかった。
「だって時間ないよ。祐子が引っ越すまであと半月くらいしかないし。めぼしい日にち決めて都合聞いてみようよ」
そこまで言われたらしょうがない。
俺はAちゃんの上から離れた。
Aちゃんはソファーの片隅に置かれたバックから手帳を取り出すと、ころん、と鍵が俺の足元に落ちてきた。
小「もしかして、家の鍵?」
俺は小さな鍵を拾ってAちゃんに差し出した。
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作者名:ユズキ | 作成日時:2015年2月28日 0時