遠い花の香り (ページ25)

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25―小山side― ページ25

「お風呂お借りしました。ありがとね。」

ソファーに座ったまま声のする方を見ると、俺の服を着たAちゃんがいた。
普段からナチュラルメイクなAちゃんだが、お風呂上がりの彼女はいつもより幼く見える。

小「いいね。Aちゃんが俺の服を着てるって。どうせなら上だけでも良かったんじゃない？」

もし上着だけで出てきたら無防備すぎて、たぶん押し倒していたかもしれない。

「そういう変な考えの人がいるからズボンもちゃんと履いてきました」

小「ごめん、ごめん。こっちきてアイス食べよう！」

気を取り直してAちゃんを隣に座らせてアイスを選んでもらう。
彼女はバニラで、俺はチョコ。

「お風呂上がりのアイス、美味しい！」

小「でしょ！お風呂入った後はアイス食べないと」

口では平然を装おっているが、サイズが大きい俺の服を着ているせいで首元から時々胸元が見えてしまう。

違う事を考えようと思考を巡らすが、

「でも、口が冷たくなってきた」

そんな風にAちゃんが言ってきたので、

小「なら、暖めてあげるよ」

その唇に触れてみたいと思い体が勝手に動いていた。

ひんやりしたAちゃんの唇は柔らかくて、バニラの甘い味がした。

俺の気持ちは昂っていて、そのまま彼女を優しく抱きしめてソファーに押し倒す。

お互いが見つめ合っていたが、Aちゃんは目をそらした。

「……小山くん……いきなりどうしたの……」

小「ごめん。嫌だった…？」

彼女を傷つけてしまったのでははいかと心配になる。

「嫌じゃないけど…いきなりすぎて心の準備が…」

小「もしかして初めてだったの？！」

「そんな事ないよ！私だってそれなりに付き合ってきたし」

確かに前に彼氏がいた事は知っていたけれど、初めてするみたいに緊張していたから。