20 ページ20
柔らかくて甘い唇に捉えたまま私はそっと抱きしめられ、ソファーに押し倒された。
視界が反転すると小山くんは私から離れて見下ろす形になり、いつもとは違う男らしい表情にドキッとする。
お互いが見つめ合っていたが、小山くんの視線に堪えられず私から目をそらした。
「……小山くん……いきなりどうしたの……」
もう私たちは子供じゃないんだし、付き合ってキスしたりそれ以上の事があるって事は分かっている。
小「ごめん。嫌だった…?」
顔は見られないが、声のトーンで心配そうな顔をしているのが分かった。
「嫌じゃないけど…いきなりすぎて心の準備が…」
小「もしかして初めてだったの?!」
「そんな事ないよ!私だってそれなりに付き合ってきたし」
心配してるはずがバカにされてるみたいで癪にさわる。
小山くんのくせに、そう思い体を起こして彼と向き合う形でソファーに座り直す。
小「ふーん。なら、今までの彼氏と俺とのキス、誰が一番良かった?」
「えっ?……そんなのいちいち覚えてるわけないじゃん!」
いきなりの言葉に戸惑ってしまい、強気にそう答えた。
後になって、小山くんだよ、なんて可愛いげのある答えを彼は期待していたのかもしれないと気づく。
小「俺じゃないの?それともよく分からなかった?」
「よく分からなくもないけど……」
じゃあ、もう一回、そう言って再び私たちの唇は重なり合う。
さっきみたいに短い時間ではなく、お互いの気持ちを探るみたいにゆっくりと時間をかけて。
しばらくして苦しくなってきた私はそっと小山くんの胸を押して、離れた。
小「もう終わりなの?大人の時間はこれからでしょ」
わざとからかうような口調で小山くんは言ってくる。
ずいぶん余裕な小山くんをよそに私の心臓は今までにないくらいにドキドキしていた。
88人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ユズキ | 作成日時:2015年2月28日 0時