遠い花の香り (ページ15)

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15―小山side― ページ15

二人で紅茶を飲みながら思い出話をしていると、隣からほのかに香ってくる香水に思考が混乱してくる。

俺が好きな祐子ちゃんと二人で紅茶を飲みながらアルバムを見ているみたいに思えてしまう。

でも、もう彼女は会社を辞めて結婚するんだ。

仲のいいままの関係を崩したくなくて、気持ちを伝えられずにいた事を今になって後悔している。
もし、彼女が成亮さんと出会う前に俺が告白していたら、どんな未来が待っていたんだろうか……

小「今まで黙ってたけど…実は……好きだったんだ」

あつかましいけどAちゃんに聞いてもらいたかった。

俺の叶わなかった恋の話。

もしかしたら、“実は祐子も小山くんの事好きだったよ”なんて展開になるかもしれない。
そんなドラマみたいな展開はないだろうから、次の恋に進むためにも気持ちの整理をしたかった。

祐子ちゃんの事……って言葉をつづけようとしたら、Aちゃんが、

「私も……好きなの。小山くんの事…」

なんて言うからびっくりした。

Aちゃんの方を見ると耳まで真っ赤にして潤んでいる瞳でこちらを見ていた。

小「えっ…今、好きって？俺の事、好きって言ったよね？」

軽くパニックになりながら聞き返す。
全然、気づかなかった。Aちゃんが俺を好きなんて。

「……言ったよ……」

小「待って！…それって告白って事でしょ！！ちょっとシャワー浴びてきていい？…って変な意味じゃなくて、びっくりしすぎて気持ちを落ちつかせてくるから！！」

俺は体温が上昇していくのを感じながら、一方的にそこまで言い終えるとAちゃんを一人残したまま部屋を後にした。