真剣SUNSHINE 【 tk × in 】 (ページ3)

今日:1 hit、昨日:3 hit、合計:47,715 hit

＊3＊ in ページ3

-in

沈黙が続いた。
それは一瞬だったかもしれないけれど、
俺にはすごく長く感じて。

最初に沈黙を破ったのは俺だった。

伊「大ちゃん、断ってよかったの？」

出来る限り平静を装ってみた。
今の俺 ‥ どんな顔しているんだろう。

髙木は、 ‥

( え、なんでわかったの？)

と一瞬驚いた顔をして、

髙「有岡くんからめったに電話なんてこないのにな。どーしたんだろうね、 ‥ まあ、明日仕事で会うし、問題ないだろ。」

と、笑った。

ねえ、もう少し上手い演技出来ないの。
動揺してんの、丸分かりなんだよ。

こういう隠し事とか出来ないところ、好きだよ。
髙木の良いところでもあると思う。

でも、今はそんな髙木に
イラっとしてしまう。

なんで誤魔化すの。
そもそも、電話かかってきた時、なんで俺から離れて電話を取ったの。

大ちゃんの気持ちには、ずっと前から気付いていた。

大ちゃんの髙木に送る視線はいつも、特別だ。

愛おしそうに見つめて、
髙木が困っている時はさりげなくフォローの言葉をかける。

髙木はそんな気持ちには気付かず、
ヘラっと笑って
大ちゃんの優しさを全身で受け止めていた。

有「ねえ、いのちゃん聞いてよ！
ラジオのさあ、髙木の声ちょーイケボなんだよ。
ラジオドラマやってんだけどさ、もう男の俺ですら、キュンキュンしちゃうんだよね！」

この台詞、何回聞かされたことだろう。
キラキラの笑顔で、幸せオーラだだ漏れで、
なんの悪気もなく俺に自慢してくる。

伊「へーー。」

有「ねー、いのちゃん聞いてるー？」

伊「聞いてる、聞いてる。」

はあ、もう勘弁してほしい。

俺だって髙木と2人で仕事したいよ‥。

コーヒーを入れながら、そんなことを考えていた。

ふわっと背後から抱き締められる。

髙「どうしたの。」

いい匂いと共に低音の優しい声が俺の耳をかすめた。

伊「別に。」

大人気ないことはわかっている。
髙木が俺のことを気遣ってくれていることも。
全部全部わかっている。

でも、笑顔になれなくて、
冷たい態度しかとれなくて ‥。

好きだよ、髙木。

この優しさも

温かい声も

独占したい。

俺は今、髙木の心の一番近くにいるのに。

好きが溢れて

どんどん欲張りになってゆく。