しかめっ面 ページ42
会社帰りにプリンが食べたくなって2つ買ってしまった。いつもの癖で、レジにいた時に気づいたけれど戻すと何かありそうでやめた。
帰ってくると侑の靴はなく、家にいそうもなかったのでリビングでくつろぎながらテレビを見ていた。お笑い番組を見ていると心にぽっかり穴が空いたような感覚だった。
すると玄関の鍵の開く音がした。
私は何も気にしないふりをしてチャンネルを変える。私の好きな俳優さんが笑ってものまね芸を見ていた。私は机に置いたプリンを持ってまたソファに寝転がる。
すると
「おった」
そんな声が聞こえて反射的に振り向いた。
「ただいま」
侑の少し悲しそうなその声を無視してテレビに目線を戻した。無視をした、と言うより頭が回らずどうしていいか分からなくなってきた。ていうか考えるのも面倒になってきた。
だるい。
ただその一言に限った。
「A、顔赤いで」
私は自分の頬を触る。
「熱あるんやないか」
確かにぼーっとしてはいたけど熱はないだろう。寒気もしないし喉だっていたくないのに。侑は私のところにきておでこに触れた。
「触らないで……!」
また反射的に出た言葉に侑は目の下をぴくりと動かす。
「なあ、おかしいって体温計持ってくるから待っとき」
侑はそう言ってリビングを出てすぐ体温計を持ってきた。私はそれを脇に挟み5分間ぼーっと待った。ぴぴぴ、となる体温計を見てみれば38度2分と表記されている。
「熱やん。なんで寝てへんの」
侑の質問には答えない。
「ほな行くで」
私は侑に抱き抱えられる。至近距離で見た侑の涙袋はいつにも増して膨れていた。少しまぶたも腫れていて泣き跡が残っている。
自室に寝かされた。
「大人しく寝起き。俺明日朝早いからなんもできひんけどできるだけ早く帰ってくるからな。熱下がっても動き回ったらあかんからな」
侑は私のおでこを撫でる。
また払いのけようとすると侑はそのまま額にキスを落とした。
「ごめんな、信じてくれるまで頑張るからな」
そう言って侑は私を優しく抱きしめて部屋を出ていった。
いつからこんなに、泣き虫になったんだろうな。
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ナッポレオン(プロフ) - とても素敵な作品をありがとうございました! (2018年12月22日 23時) (レス) id: 8e13bd886f (このIDを非表示/違反報告)
萌々子(プロフ) - チョーク*さん» コメントありがとうございます!!すごく嬉しいです!涙が出るくらいに!応援していただきありがとうございます!完結いたしました!楽しみにしてくださってたのに申し訳ないです!評価押して下さりありがとうございます!! (2018年5月17日 23時) (レス) id: 7e27c0b7c2 (このIDを非表示/違反報告)
チョーク*(プロフ) - この作品本当に大好きです…!こんなお話は余り見ないし、素敵な作品は久しぶりなので「ヤバいヤバい!」ってつい言いながら見てしまいます(笑)評価ボタンも毎回押しては無効だったり…とにかく大好きです!自分のペースで大丈夫ですよ、気ままに更新待っております^^* (2018年5月17日 16時) (レス) id: e74d4ea6bf (このIDを非表示/違反報告)
萌々子(プロフ) - るかちさん» ありがとうございます!!めちゃくちゃ嬉しいです!!毎回押してくれるなんて!涙が出ますよ!!楽しみにしててください!頑張ります! (2018年5月16日 7時) (レス) id: 7e27c0b7c2 (このIDを非表示/違反報告)
るかち(プロフ) - 1話更新されるたびに「あああ尊い」ってなりながら毎回投票済みの評価ボタンを押してしまいます。これからも楽しみにしてます。いつも応援してます! (2018年5月15日 23時) (レス) id: 2cef0ad450 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:穀海* | 作成日時:2018年5月4日 21時