嘘でできてる。【宮侑】 (ページ37)

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小学６年生。春。宮侑と初めて同じクラスになった。特別仲が良い、という人がいないこのクラスにうんざりしていた。女子の友達はもちろんいるし遊んだりだってする。だけど、男子は怖いしあんまり話したくない。

「Aちゃんていうん？」

「……宮侑」

宮侑は女子からモテていた。どうせそう言うやつって女たらしだしって思って私はあまり話したくない。

「俺、宮侑って言うんよ。よろしゅうな」

モテすぎている、という噂と同時に悪ガキという噂というのも流れていた。

「話しかけないで」

そう冷たく返して私は席を立つ。周りで見ていた人達はなにあれ、感じ悪、と口々に言い出す。でもクラスの女子はいう。『あれがAちゃんだから。』と。わかってくれる子も何人かはいた。

「なんや、あいつ。」

宮侑はちぇ、とバツが悪そうに私を睨んでから少し口角をあげる。

どうやら気に入られてしまったようだ。

「侑くぅん、なんであの子なのお」

ベタベタされている。気持ち悪い。

「気色悪い。」

「A、あんま言っとるとAの事だからあとから付き合っちゃうんやないの？」

「ない！」

私は怒るように地団駄を踏んだ。給食食べ終わって牛乳パックを片づける前だったため空っぽの牛乳パックを手で握り潰していた。でも宮侑をもう１度横目で見ると宮侑は思いもよらぬ発言をする。

「俺、そういうベタベタする奴嫌いやねん」

にこりと微笑んだその顔は黒く澱んでいる。

「何あいつ」

「昔からやで。女嫌いなんやて。絡まれたAが珍しいって噂が流れとる」

ふーん、と適当に返す。女嫌いならなんで私に話しかけてくるんだよ。とにかく、私はあんなやつ好きにならないし、好きになろうともしない。すると腕を掴まれた。

「俺、こいつと付き合っとるから」

「……はい？」

「ちょいと、堪忍してや」

小さくぼそっと私に耳打ちする。

「なに、それ。」

超むかつくんだけど。