嘘でできてる。【宮侑】 (ページ35)

今日:2 hit、昨日:26 hit、合計:39,819 hit

３４ページ35

「ねえねえAちゃんってさ」

休憩時間。及川さんが私に話しかけてきた。正直面倒だな、と思いつつ返事を返した。

「侑くんとキスしたの？」

「へ」

突然の質問に全身が熱くなる。ぽかぽかなんてもんじゃない。沸騰しそうなくらいだ。及川さんは初々しいね、と呆れた顔で言った。まるで俺のが進んでる、とでも言いたいように。そりゃあもちろん彼のが顔は抜群に整っている。

でも、だからって私を馬鹿にしなくても

「言ったらまた喧嘩になっちゃうかもだけど、」

及川さんは首裏をかく。

「いいのかなあ、いっても」

及川さんは頭を悩ましている。私はどうぞお好きに、と答えた。及川さんは『ならいっか』とにこりと笑って話し始めた。

「愛世ちゃんと、キスしてたよ」

「……ああ、はい」

「え？驚かないの？」

「まあ、別に」

いや、そんなことない。別に、なんてことないわけじゃない。侑のことが好きだって思い知らされたせいで、そのせいで。苦しくてたまらない。拒否反応だと思っていたこの感情が今じゃ違う。

平気な顔をしていれば、誰にも迷惑はかからない。

「Aちゃんは嫌じゃないの？俺だったらすごい嫌だ。」

「じゃあなんでその話したんですか」

「Aちゃんをもらいに来た」

「ああ、はいそうですか」

「反応が薄い！」

そのへんは別にどうでもいい。どうせじょうだんだし、本気にされても困るだろう。だから私はわざと照れ隠しをする。本当は可愛らしく反応もしてみたいし、本当はバカっぽく笑いたい。

「侑、私の事好きじゃないからいいんです。」

「……Aちゃん、かわいそう」

「なんとでも言ってください。同情なんていりません。所詮それは上辺だけで、本当は思ってないんでしょう？それに、私はかわいそうな子ですから」

にこりと笑う。

ああ、今日も私は変わらない。