嘘でできてる。【宮侑】 (ページ27)

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スポドリを作って、ゼッケンを畳んで、雪絵さんにドリンクを渡したら使ったゼッケンを洗濯機に入れに行って、夕食の当番だから食堂に向かった。疲れのせいかこけてしまった。恥ずかしくなって辺りを見回すと誰もいなかった。よかった、とほっとため息をつき私は食堂のドアを開けた。

残念ながら今日は白金さんとの当番で。

わがままで当番表を変えるわけにも行かない。何も無かったように私はお皿を並べた。今日の夕食はエビフライだ。お皿に綺麗に盛りつけをした。白金さんは料理が得意なのか美味しそうだった。

「……」

沈黙が漂うなか。

「ねえ」

白金さんは口を開いた。

「侑のこと傷つけたでしょう。」

「……何言ってるんですか？」

「侑が今日調子悪かったの。あんたのせい。」

「そうなんですか。そういうの、分かってあげられるあなたならきっと幸せになれますよ。よかったですね。」

私がそう返すと嫌そうな顔でいう。何方かと言えば悔しそうな顔。どうしても私を蹴り落としたいらしい。馬鹿らしいので冷たくあしらう。

「なんなの、侑と付き合ってるんじゃないの？」

「付き合ってないです」

私は口角をあげて彼女を見る。

「なんで、侑は」

「あの、ひとつ聞いていいですか」

彼女の言葉をかき消すように彼女に真剣な眼差しを向けた。彼女は何、と無愛想に返した。私は大きく息を吸って彼女に言った。

「なんでそんな私に構ってくるんですか。もしかして、試してるんですか？私と侑の関係を。」

「……え」

白金さんは図星というように顔を歪めた。

「試してたんですね。」

「……ええ、そうよ。私は侑が好きだから、侑のためを思ってやったの。」

「Aちゃんが、侑のこと好きなら諦めようと思ってたし絶対やきもちやいて、悔しそうな顔すると思ってたのに。」

なに、その態度

白金さんは口を噤む。私は『そうですか』と愛想よく返してまた皿を並べるのを再開した。試してた。私と侑の関係を。私達の関係は終わっている。もう築くことはできない。

私は望んでない。彼とよりを戻すこと望んでるはずがない。

「もう終わったんです。どうぞ、侑と幸せに」

「……そう。」

白金さんが珍しく静かに頷いた。みんながわらわらと入ってくる。私は何事も無かったように振舞った。といっても誰とも話さないから平然とした顔つきを保っていただけ。