嘘でできてる。【宮侑】

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「な、何言って……」


真っ赤に染まる頬。火照る体。治の意地悪な顔つきが少しむかついた。好きとか、嫌いとか。治をそんなふうに見たことはないからわからないし、答えもどうしていいか分からない。嘘告だった場合笑われるかもしれない。恥ずかしさと悔しさと苦しさ。入り交じる感情。


「やから、好きなんやて」


「い、いつから」


「ずっと、侑と付き合ってた時から」


「……」


「どうせ侑のがモテるんやろなあって思っててん告白できなかった」


ずっと、隠してたってこと。治の目に嘘はなくて。立ち上がった私を見つめる彼の頬に影がかかる。治を黙って見てることしかできなかった。


「せやから幸せになってほしかったんやけど、今こんな状態やし。もし良かったら、俺と一緒に侑忘れようや。ごめんな、こんなこと言って本当のことやから」


『ほんまにごめん』って下を向いて悲しそうに言う治。


「ごめんなさい。ありがとう」


治の目から涙がこぼれて溢れる。それに気づいていないかのように下を向いていて何も答えない。自分まで悲しくて、どうしていいか分からない。治は私の顔をそっと見る。


「泣いてまうわ、あほ」


「ごめん、ごめん」









ごめん。









「お前まで泣いてどうすんのや。泣き虫やの」


どうしていいか分からないの。


「わからない。ごめん、ごめん」


「終わりや終わり、大丈夫や、ごめんな。泣かせるつもり無かった」


私が泣き止むまでそばにいてくれた。幸い休憩時間だったことに感謝をする。チームのとこに戻ると目が腫れている、と心配された。何も心配はいらない。なんてかっこよく答えることなんてできずにただ黙って下を向いていた。


自分が嫌いになる。









「……」

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