可愛くねえの。【花巻貴大】

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貴大のあんな笑顔久しぶりにみた。あんなに楽しそうなところも。私といるのって楽しくないのかな、なんて思ったりもした。合宿所につけば大きな校舎と綺麗な体育館が何個もあった。


仕事内容は分かるからやること済まして自分の指定された部屋に入った。


「容量いいね、Aちゃん」


「ありがとうございます」


及川さんが私の隣に腰掛けた。


「中学生なんだし、もう少しはしゃげばいいのに」


及川さんはそう言って苦笑した。私は下を向いて答えられなかった。どうしていいか分からない。笑うことももうできないかもしれない。面白い、って思えなくなってしまった。お母さんもお父さんもいないから、愛とかそういうのが分からない。


「マッキー、悲しんでたよ。昔はもっと可愛かったって」


「今は今。昔は昔。」


私は冷たく返した。


「人ってこんなに変わるもんなんだなって言ってたよ」


及川さんは私の入る隙間を作らないようにかテンポをずらしながら喋る。


「俺はマッキーから話を聞いてる。Aちゃんを笑わせたいと思う！」


明るく、楽しそうに及川さんはそう言った。

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