幼馴染みは一蓮托生【花巻貴大】

２１ ページ22

「貴大が泣いたら、っ」


「な、泣くなよ！絶対やめろ！」


いつもそうだ。Aは俺が泣くと絶対一緒に泣く。なんでかって？当たり前だろ。Aは俺の苦しみも悲しみも分かってくれる。楽しさも嬉しさも。


Aは俺を抱きしめる。


「へいへいへーい！A元気かぁ？！って……すまん」


「ま、待て！誤解だ！」


「何だ！そうか！ならいいか！」


「ちーっす」


「お？リア充か？」


Aはリア充と言われた時点でもう俺から離れてた。流石に恥ずかしかったのだろう。顔が林檎のように赤くなってる。それを見て笑う木葉と有紗。その後に松川が立っていた。来たんだ。


「Aあのさ」


松川が前に出た。


修羅場になるのか否か。


この場にいるやつはみんな知っている。松がどれだけ申し訳ないと思っているのか、松がどれだけ謝りたいのか。反省していることを知っているし、誰も責めたりなんてしてない。


女バレに至っては多少イラつきも見せていたが、なんだかんだ言って許しているし。


「ほんと、ごめん。俺ちゃんと見てなかった。俺気づけなかったから。許してくれないって分かってんだけど、でも謝らせてくれ！」


松が頭を下げた。Aは戸惑っている。すると何かを決心したようにAは松の両頬を抓った。


「あほか、お前は。どこに許さねぇやつがいんだよ。謝ってくれるなら私はそれでいい。分かってくれるならそれでいい。」


Aは無表情だ。


「怒ってねぇの？」


松はAの手を掴む。こんないい雰囲気のとこ悪いけど、正直ふれあいすぎ。いやいや、別に妬いてるとかそんなんじゃない。ただちょっと近づき過ぎかなとか思ったりるだけで……。


「ニヤニヤすんな！」


「ごめんごめん。」


黒尾が俺を見てにやけていた。


「花巻くん空気読めないなーって」


「ち、ちげぇよ！」


「妬いてるのかなぁ？」


「ち、違うって言ってるだろ！」


「顔真っ赤だよ？」


またにやけてツッコミをいれる夜久。くそ、音駒はろくなもんいねぇ。


「真っ赤じゃねぇよ！」


ったくよぉ、ほんとに。恥ずかしいったらありゃしねぇ。Aに限っては松と仲良さそうに話してるのに。何俺だけ仲間はずれみたいな。別にAとずっと一緒にいるわけじゃないけど。


何ひとりで戸惑ってんだよ。


「ねぇねぇ、せっかくだし、A楽しませたいじゃん？だから」

２２→←２０

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す