幼馴染みは一蓮托生【花巻貴大】

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花巻side



Aが泣くとこれがまたうるさいんだ。


だけど


「おい、ちょっと待て。泣くなよ、やめろ！泣くな！」


Aは馬鹿でかい声を上げて泣き始めた。感情が爆発するみたいに。ドカンと。俺から抱きついたけどいつもなら、すぐ離すのに。Aは俺のこと離さなかった。


窓からAのお母さんが見てる。


それも笑いながら。


絶対勘違いされたやつだし、それに俺外周の途中だった。みんなのところ抜けてきたから今頃探してるはず。早く戻らなきゃ、という意識はなかった。


Aの抱きしめる力がだんだん強くなる。


「A、泣きやめ」


俺は頭を撫でてやる。


「A、少しだけど合宿一緒だろ」


Aは泣き止まなかった。









.









「……。」









誰か、見てるのか。視線を感じる。どこから見てるのか分からない。睨まれてる気がする。怖。まさかAの彼氏とか？いやいや、それは無いな。Aに彼氏がいたら俺に抱きつかねぇし。


ストーカー、とか？


ないよな。それは。


するとAが次第に泣き止んだ。でも離さない。俺が、『そろそろ行かなきゃ』と言えばAは首を横に振って俺が歩いてもくっついてるまま。


すると中から


「あらぁ、久しぶりねぇ、ささ、中に入って」


「いや、でも」


「溝口くんには連絡しておいたから」


苦笑いして頷いた。Aが離れないからそのまま中に入る。Aのお母さんは笑いながらリビングに行った。俺もついてく。Aのお母さんも背が高くて１８０cm丁度だという。


お父さんは元バレーボール選手で２００cmあるという。


「じゃ、２人で仲良くね」


Aのお母さんは上に自室に向かった。


「A？」


「……」


“寂しかった”


「寂しかったのか。意外だな」


「……」


“幼馴染みでしょ”


幼馴染みか。ちょっと悲しい響きだな。幼馴染みは近くて遠い。近すぎて逆に遠くなってく。こうやって抱きしめられるのも、生まれた時から一緒で家族みたいなものだから。


「頑張って日本代表なれよ」


「当たり前」


そう言えば、さっき覗いてた？見てたのか。分からないけど誰なんだ。









.









「あぁあ、泣いてるとこも可愛い」

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