9:幼馴染みだから ページ10
夜久side
「休憩〜!お昼だよ〜!」
白福雪絵が俺達に声をかけに来る。
「おっしゃあ!!メシだメシー!!」
騒ぐ一年部員を微笑ましい目で見つめる海と黒尾。俺は呆れたような目で一年部員を見送った。白福が『Aと幼なじみなんだってー?』と聞いてくる。素っ気なく、『まぁな』と答えた。俺にとってAは特別だから。幼馴染み、なんて言葉で片付けたくなかった。
前の前を木兎と雀田とAと赤葦の並びで歩く4人組。俺はAの少し綻んだ顔を見た。ちょっと妬いたりなんかした。でも、Aの幸せなら喜んでやんねぇと。A自身が悲しんじゃうから。
「なぁ、夜久。」
「なんだよ」
「玲津ちゃんのこと、すきなら告ればいいじゃねぇか」
「黙れ。別に。
好きじゃねぇから」
その時にスッと振り返ったA止めがあった。少女漫画でよくあるタイプか。否か。Aは悲しそうな顔をして、だけど少し微笑んだようにまた前を向いた。Aの表情は分かりにくい。
もし今のを聞かれてたら、多分関係に亀裂が入る。
でも、
「なぁ!A!!……て!反応しろよ!」
「無駄ですよ。木兎さん」
「んだとぅ?!」
「黙りな。別にちょっと、反応の仕方がわからなかっただけだから」
「不器用系か!」
「うるさいよ」
少しぐらい妬かせたくなるじゃねぇか。俺のこと、意識してほしいじゃねぇか。初対面のやつが俺より仲良くして。ただイラつきおさまんなくて。Aのこといっぱい知ってんのは俺だけだから。Aが親に相談できないことも俺が全部相談のってやった。
ぼっくんに取られるわけにはいかねぇんだよ。
「ま、幼馴染み同士、不器用極まりないってか」
黒尾が口を開く。
「確かにな。がんばれよ、夜久」
ははは、と笑う海。
「お前らなぁ。あいつが幸せならそんでいいんだよ。分かってねぇなぁ」
「よ!男前!」
本当にそう思ってるのだろうか、自分は。
「リベロは全員男前だからな」
「ですよね!」
「いつからいたんだよ!リエーフ!」
リエーフはさっき、走って食堂に行ったんじゃなかったのか。
「さっきからいましたし聞いてました!」
「Aさんのこと好きなんですよね!」
また振り向くA。キラキラとした目で俺を見つめてきた。少し苦笑いを返せば小さく手を振ったA。嬉しそうに頬を赤らめるAを見れば、期待が胸に押し寄せた。
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作者名:穀海* | 作成日時:2017年5月25日 7時