冷たい彼女を振り向かす方法【木兎光太郎】 (ページ3)

今日:12 hit、昨日:1 hit、合計:42,963 hit

２：勧誘ページ3

「おーい！」

「……」

冷たい視線を向けられた。

「木兎さん、知らない人に何してるんですか」

「ちげぇよ！朝に会ったんだよ！」

「今は朝です」

彼女は俺からまたどんどん離れていって、スタスタと歩き去っていく。俺は小走りで追いかけ、名前と学年を聞くことにした。

「お前、何年？」

俺は３年だし後輩しか今はいないからタメ語でも大丈夫だよな、とか思いながら。俺は彼女に問いかける。少し黙ってから彼女は言った。

「３年だよ」

隣で赤葦が去っていく。

「俺もだ！何組だ？！」

「２組だよ。」

呆れたように返された。面倒くさそうな顔つきで、溜息をつきながら。彼女は金髪の髪を揺らす。

「あんた、名前は」

少し照れたように俺に問いかけた彼女がひどく可愛く見えた。だから元気よく返事を返す。

「木兎光太郎！」

少し間を置いて言った。

「私は玲津A。」

「宜しくな！」

俺がそう言って手を差し出せばAと名乗った彼女は恐る恐る手を出そうとしたがすぐに引っ込めて閉まった。なんだよ、と少し残念な気持ちになった。

「そーいえばよ！マネージャー！やってくれよ！」

「なんのさ」

「バレーボール部！」

Aは少し嬉しそうな顔をした。

「今度の合宿、ていうか明後日の合宿に間に合わせたいんだよ！！」

「明後日……って……」

まぁこんな冷静で冷徹な女性でめんどくさがり屋な性格をしている彼女がやってくれるとは思わない。ましてや諦め半分、とでも言った方が良いだろうか。するとAは少し悩んだ末にこう言った。

「音駒、来る？」

「え、おう」

何でそんなこと聞くんだ、と思いとっさに答えた。

「そう。ならやる」

「え？！え？！マジで！！じゃあ今日は見学な！！来いよ！！」

俺は無理やり彼女の手を掴んで走り出した。彼女の柔らかくて小さな手は俺の手の中にスッポリと収まったAは焦りながらも俺についてくる。案外足が早かった。

「はよ！！」

「はよー」

返事が細々と返ってくる。

「木兎～？その子はー？」

白福が俺に話しかけてきた。

俺はドヤ顔をしてこう言った。

「新しい、マネージャーだ！！」

「３年？」

「おう！」

「やっぱり。見たことある。」

かおりが悩み始めた。

「体育祭、係が一緒だった。ただそれだけ」

Aが淡々と答えた。

今更だけど、音駒にAは何の関係がある？