１０：ヤキモチ ページ11
「Aさん、顔赤いですよ」
「うるさいね。赤くないよ」
「めっちゃ赤いよ」
赤いなんてありえない。ただ、最初に『別に好きじゃない』って言葉が聞こえて、私のことかと心配になったけど、『好き』という真反対の言葉を聞いて安心しただけである。安心して顔が赤くなるなんておかしいんだ。
ニヤニヤしながら私をおちょくるのがかおり。それに合わせて色々というのが赤葦。痛いところをついてくる。幼馴染みだからって恋に落ちるとかそんなことはありえないんだ。私は好きな人なんて出来たことないから。
よくわからない。でもこれだけは確実だった。夜久衛輔、彼は幼馴染みの対象であって、私は恋愛的に好きではない。もう１度言おうか。好きではない。お兄ちゃんだ、お兄ちゃん。ちなみに私には弟がいる。というのも嘘である。
食堂についたら指定された席に座る。だが間違えられていたみたいだ。誰か知らない人が私の隣、前に座っているではないか。白地に青のジャージ。すると監督が告げた。
「急遽合宿に参加することになった、青葉城西高校だ。去年は惜しくも県予選で敗れ、準優勝だ。かなりの強豪だからな。」
と。じゃあ今私の前と隣に座っているのは。
「玲津、お前は他校とも仲良くならないといけない、という木葉の提案によりそこの席だ。あとのヤツは他の指定席に座れ！」
「よろしくね〜Aちゃん」
「……よろしく」
木葉のせいでこうなった。睨みつければごめん、と謝る姿勢になる。謝るくらいならやるな。
「玲津、か。珍しいな」
「そうかい？別に私はそうも思わないけどね」
「喋り方もめずらしいべ」
「あんたに言われたくないね」
目の前に出されるうどんを頬張った。
「Aちゃん可愛いね〜！俺は及川徹って言うんだ！今度遊ばない？」
口に入れたうどんを飲み込んだ。
「遊ばないよ。あんたと遊ぶわけないだろう」
「及川ふられてやんのー！」
「この子ひどい！！」
及川徹。残念なイケメン。
「あ、俺は花巻貴大な」
「よろしくね」
握手を交わした。けれど、何故か怯えたようにスッとさりげなく手を離して冷や汗を垂らす彼を見て首を傾げる。意味がわからない。そんなに私の手が気持ち悪かったのだろうか。後ろに気配を感じて振り返れば。
「よぉ、青葉城西のバレー部。宜しくな」
「光太郎、と……衛輔」
「調子乗んなよ？お前ら」
「「「「乗りません」」」」
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作者名：穀海* | 作成日時：2017年5月25日 7時
