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愛 22 ページ23

「Aってオセロ好きか?」


「はぁ、まぁ。」


彼は机の引き出しからオセロを取り出した。白と黒の駒をが私の目の前に出てきた。オセロは好きだ。まぁまぁではない。好きだ。


逆転とか、そういうのがありな所とか。色が好きとか。ただ単純に。子供になった気分になれるから。宮侑とオセロをやることになって私の駒は黒。彼は白。


一個一個駒を置いて黒に変わったり白になったり。え?!そこ、って思う所に置かれて。


何度やっても負けた私。さすが頭脳派幹部。負けるに決まってる。圧勝されるとムカつくから何度か挑戦したんだ。勝つまでやりたかったんだ。だけど彼が眠そうな顔をした。


その顔はいつものかっこいい顔とは別人ですごく可愛らしくて。彼も眠くなるんだな、なんて思って少し微笑めば。「何笑ってはるの」と少しいじけた表情で私の頬をつねってくる。


それもこれも幸せな時間だった。私はずっとここにいたいと思った。元のあの組織に戻りたいと思った。前に誘われたこと、受け入れてしまえばあの組織に戻らなくて済む。だけど


少し寂しい気持ちだってある。今まで仲間としてやってきた奴らとはおさらば。敵となる。大事な人が敵という悲しさは知っている。


運動会とかで赤と白、親友と別れてしまった時の悲しさなどそんなものでは済まないくらいの。胸がぎゅっと締め付けられるような。


私だって罪悪感くらいあるものだ。


「眠いんなら寝ていいですよ」


「嫌や」


「子供ですか」


「Aの前やと子供でいられんもん。」


と不意に抱きついてくる宮侑。彼はきっと寝ぼけてる。そう思った。けどそれは違ったんだ。抱きしめられた途端、首筋を人舐めされた。


生暖かい感じが伝わってくる。


でもそれが気持ちよかった。


「寝てください」


「押しつけはあかんよ」


「寝てください」


私は恥ずかしくなった。ここ最近の新しい感情。頬が熱くなる。私の顔はきっと漫画のように赤いのだろう。それでも彼の前ならいいんだ。


「Aが寝かしつけてくれんなら寝たる」


ニヤリと宮侑は笑う。少しムカッとして私は彼の手を握った。彼の手は暖かい。この手が好きだった。大きくて、大好きな手。





宮侑が、寝入った頃。私は彼の顔を見た。


「好きです」


そう呟いた。彼の耳には届いて無いのだろう。


それもそれで虚しいな、なんて。彼が目を覚まして抱きしめてくれたら面白いのに。いつから私はかまって欲しい体質になったのだろうか。

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萌々子(プロフ) - 埜餡さん» 出すことにしました!ありがとうございます! (2017年8月23日 19時) (レス) id: 7e27c0b7c2 (このIDを非表示/違反報告)
埜餡 - 萌々子さん» 続編出して欲しいです!! (2017年8月21日 0時) (レス) id: 25518f8173 (このIDを非表示/違反報告)
萌々子(プロフ) - 埜餡さん» 続編出すか出さないかで迷っています。明後日までには終わらせるか続編を出せればと思います!なのでもうしばらくお待ちしていただいてもよろしいでしょうか?本当にすみません。明後日までには更新いたします。 (2017年8月18日 16時) (レス) id: 7e27c0b7c2 (このIDを非表示/違反報告)
埜餡 - 萌々子さん» すいません、続き気になるんですけど、、 (2017年8月18日 14時) (レス) id: 25518f8173 (このIDを非表示/違反報告)
萌々子(プロフ) - 埜餡さん» ありがとうございます!そう言ってもらえると嬉しいです! (2017年7月15日 21時) (レス) id: 7e27c0b7c2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:穀海* | 作成日時:2017年4月3日 19時

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