愛 １９ ページ20
目を開ければ宮侑が私の頭を撫でていた。優しい手の掌。優しい、昨日とは違う。ちゃんと目に光が通ってて。
でも、思い出すだけで頭が痛い。目の前で愛する人が、撃たれて。目の前で倒れて。そして、死んでしまうのだから。
ここにいる宮侑は何なのだろうか。彼は死んでしまったんじゃないのだろうか。私は宮侑を最期まで一緒にいたい一心でここにいる。なぜか自分の組織までも振り払いここにいるのだ。
もし宮侑が死んでいて、ここに私といるならばこれは夢か天国と言うものだろう。否、地獄かもしれない。なぜなら私は人を殺してきた。まぁ今はそんなことどうでもいい。
「ありがとな」
ニコリと笑う宮侑の笑顔。これは本物なのだろうか。頬を触れば、すり抜けてしまうのではないのか？
私は宮侑に寄っていき頬を両手で包み込む。宮侑の肌に触れた感覚が。しっかりと手のひらに伝わる。ちゃんと暖かい。冷たくない体温。
途端に安心した。優しい彼の微笑みが。私の心を温める。
「何泣いとんの。ほな、こっち」
ギュッと抱きしめてくれる宮侑。体温が私に伝わる。私は泣いているのだろうか。わからなかった。泣くという感覚は１回きりでは分からないのだ。何年も泣き続けて来なかった私に。
でも、彼の服にシミがつく。私の目から落ちた涙。宮侑をそっと抱き締め返した。
「泣いたとこ、初めて見たわ」
宮侑はそう言った。目をつぶって何かを語るように。私の頭を撫で、抱きしめて。泣きすぎた子供あやすような。でも今の私にはその行動はとても嬉しいもので。安心感があるような。
宮侑には勝てない。あの場面で泣いてしまった、今の場面で泣いてしまった私は本当に情けない。でももういいんだ。これからは泣かないけれど。我慢はするけれど。でも。
今は泣かせて欲しかった。
彼の腕に抱かれ。
彼の胸の中で泣きたくて。
「泣いていいんや。」
彼のことが好きすぎて。おかしくなりそうだ。本当に、出会わなければ。私はこんなに辛くならなくて。もっとしっかりと殺しを出来たのかもしれない。だけど彼と出会って、私は感情というものを知ったんだ。
だから。
「宮」
「侑でえぇよ。」
「侑さん。」
彼の声だった。しっかりと通った。大好きな。
今ちゃんと聞けてる。彼の声が。私の耳に伝わっている。それだけで生きてくれているんだ、という実感を得た。
愛しているんだ。
「敵じゃなかったら。幸せやった。」
彼の言葉が心に刺さった。
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萌々子(プロフ) - 埜餡さん» 出すことにしました！ありがとうございます！ (2017年8月23日 19時) (
レス) id: 7e27c0b7c2 (このIDを非表示/違反報告)
埜餡 - 萌々子さん» 続編出して欲しいです！！ (2017年8月21日 0時) (レス) id: 25518f8173 (このIDを非表示/違反報告)
萌々子(プロフ) - 埜餡さん» 続編出すか出さないかで迷っています。明後日までには終わらせるか続編を出せればと思います！なのでもうしばらくお待ちしていただいてもよろしいでしょうか？本当にすみません。明後日までには更新いたします。 (2017年8月18日 16時) (レス) id: 7e27c0b7c2 (このIDを非表示/違反報告)
埜餡 - 萌々子さん» すいません、続き気になるんですけど、、 (2017年8月18日 14時) (レス) id: 25518f8173 (このIDを非表示/違反報告)
萌々子(プロフ) - 埜餡さん» ありがとうございます！そう言ってもらえると嬉しいです！ (2017年7月15日 21時) (レス) id: 7e27c0b7c2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：穀海* | 作成日時：2017年4月3日 19時
