愛 １ ページ2
暗くなった空。ポツリと奥に光が見える。
グシャリ
何かを潰した音がして。私は下を見た。無花果の実だ。赤い汁が私の足を濡らす。あの時みたいだとただ呆然と眺めていた。コンクリートの床を裸足で歩く。
上を見上げ、無花果の実を採る。美味しそうな色をしていた。一口齧っても何も感じない。私は奥へと進む。齧りかけの実を棄てて。誰もいない細い道を歩いた。
先程の光がなくて。つまらなくなって私は戻ろう思った。一度後ずさりをしてから私は後ろを向く。髪が風に靡いた。私はそのまま赤い足跡をつけてコンクリートを歩く。
暗いせいか赤が黒に見えた。私には帰る場所がない。１度、失敗した。人生を。戻れないんだ。今みたいには。それは、そんなことは百も承知。だけど戻りたいと思ってしまう。
それか、消したかった。過去も未来も、その先も。罪深き愛も、恋も。馬鹿げたことをしていたんだ。私の全てを捧げたのに。終わってしまうなんて情けない。
それに知っていたんだ。それがしてはいけない恋だって。私は俯き止まった。ポケットに入っている真っ黒の私の心の色の様な拳銃に手を当てる。
「何してるの？お嬢さん」
声がして、振り返れば黒い服装の男。背が高く、私と２０センチくらいの差がある。そんな彼に見下ろされ腹が立った。
「こんな時間に危ないよ？」
そうも言いつつ彼は私に近寄った。別に怖くなどない。こんなことは慣れっこだった。私は逆に彼に近づく。右手に添えた拳銃を彼に向けた。
「おぉっと。怖い怖い。」
無言で彼を睨んだ。彼はニコニコしてお手上げポーズをする。余裕そうな表情。人をイラつかせるのが得意なようだ。
私は手が震えていた。この拳銃は握りしめながら。
彼は言った。
「物騒なものを下ろしなよお嬢さん」
『本当は撃てないんだろ？』とでも言いたそうな表情。本当に何なのだ。イラつくばかりでどうしようもない。彼を見つめながら、沈黙を走らせる。
「俺知ってんだぜ？あの超大物を殺したんだろ？」
「っ……！」
大物とは昔私が愛してならなかった彼のことだった。私は彼のことを口に出されるとどうしょうもなく辛くなる。私は胸を締め付けられた感覚になる。
この雰囲気にわざと合わせているような冷たい風が私の頬を撫でる。私の足がどんどん冷えていく。冷たくなっていく。目の前に立つ彼はニヤリとわらった。
「愛してたんだろ？アイツを」
私は私に近づいた彼の首に銃口を当てた。
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萌々子(プロフ) - 埜餡さん» 出すことにしました！ありがとうございます！ (2017年8月23日 19時) (
レス) id: 7e27c0b7c2 (このIDを非表示/違反報告)
埜餡 - 萌々子さん» 続編出して欲しいです！！ (2017年8月21日 0時) (レス) id: 25518f8173 (このIDを非表示/違反報告)
萌々子(プロフ) - 埜餡さん» 続編出すか出さないかで迷っています。明後日までには終わらせるか続編を出せればと思います！なのでもうしばらくお待ちしていただいてもよろしいでしょうか？本当にすみません。明後日までには更新いたします。 (2017年8月18日 16時) (レス) id: 7e27c0b7c2 (このIDを非表示/違反報告)
埜餡 - 萌々子さん» すいません、続き気になるんですけど、、 (2017年8月18日 14時) (レス) id: 25518f8173 (このIDを非表示/違反報告)
萌々子(プロフ) - 埜餡さん» ありがとうございます！そう言ってもらえると嬉しいです！ (2017年7月15日 21時) (レス) id: 7e27c0b7c2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：穀海* | 作成日時：2017年4月3日 19時
