嫌い ４０ ページ40
「……賢二郎、冗談やめてよアハハ……」
賢二郎は首を傾げる。
なんで名前呼びなんですかと、私に問いかけた。
あまりの衝撃的な事によくわからなかった。
「賢二郎、太一は？若くんは？覚ちゃんは？わかるよね？」
賢二郎はまた首を傾げた。
『誰ですか？』何て。
何でそんな事言うの？からかってるの？
全員が言葉をつまらせた。
「バ、バレーの基礎は？覚えてる？」
「バレー？踊るんですか？｣
バレーボールまで忘れてしまっていた。
私はグッと手を握った。
なんで忘れちゃうの。
何で何で！
涙が出た。
『泣くとかそういうのうざいです』なんて、
しょうがないじゃん。
賢二郎には、『何で』という言葉しか浮かばない。
ただ辛いだけでその場の人も理解ができてないようだった。
短期記憶障害ならいいんだけどな。
すぐ、思い出してくれれば。
私はそう願って皆と保健室を出た。
どうしてそんなに忘れるのか、みんなには忘れ物を取りに行くと言って保健室に戻り先生に聞いた。
すると、
「……ストレス…かな。頑張りすぎちゃったのかしら。思春期の悩みとかで頭がショートしちゃったのよ。」
先生は苦笑いをした。
「支えてあげてね」
何て、そんなこと言われたら。
辛いじゃん。
嬉しいじゃん。
「はいっ」
私はそう返事を返した。
賢二郎はまたベッドに入った。
「まぁ、多分短期記憶障害だからすぐ記憶は戻ると思うわ。」
先生は今度は優しく笑った。
名簿に何かを書きながら。
すぐ記憶は戻る。
それだけで少し鼓動が高なった。
賢二郎はバレーの基礎を覚えてなく、マネージメントを手伝ってもらうことになった。
例えばドリンクとか。
スコアとか。スコアは無理か。
でも、見てるだけで思い出してくれたらな。
「賢二郎、違う違う！そっちじゃないよ！」
絶賛音駒を手伝ってもらっていた。
「あ、そうそう！」
賢二郎はやはり頭が良いせいか覚えは割と早い。
「よし！運ぼう！」
賢二郎とドリンクを半分ずつカゴに入れて運んだ。
隣にいれるだけで幸せだった。
賢二郎は喋らなかった。
多分初対面だと思い、気を使っているのだろう。
私達はドリンクを配り終えて少し休憩をとった。
「賢二郎、思い出さない？」
「すみません……まだ。」
まぁ無理に思い出させちゃいけないよね。
何て。
そのまま夜は更けていった。
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萌々子(プロフ) - かえちゃんさん» ありがとうございます！！頑張りまーす！！ (2016年12月10日 14時) (
レス) id: 7e27c0b7c2 (このIDを非表示/違反報告)
かえちゃん(プロフ) - 面白いです！更新頑張ってください！応援してます！ (2016年12月10日 8時) (レス) id: bc1d331389 (このIDを非表示/違反報告)
萌々子(プロフ) - 彩葉さん» 更新頑張ります！面白いって言って貰えて光栄です！ありがとうございます！ (2016年12月6日 7時) (レス) id: 7e27c0b7c2 (このIDを非表示/違反報告)
彩葉 - 面白いですね！主人公が振り回されているのもまた面白いですね！更新頑張って下さいヽ(*´▽)ノ♪ (2016年12月6日 3時) (レス) id: 0b0ae23cc2 (このIDを非表示/違反報告)
萌々子(プロフ) - ましゅまろきゃんでぃさん» そう言っていただき光栄です！頑張ります！ありがとうございます！ (2016年12月4日 18時) (レス) id: 7e27c0b7c2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：穀海* | 作成日時：2016年12月4日 11時
