α17:記憶に残る声 ページ48
「ええ。いつも新しいアーティストを探しています。興味深い新人を見つけるのが、本当に楽しみで」
柴田と呼ばれた白髪の男は、天使の様な笑顔を浮かべる。
直後、職員室のドアが開き、女教師が焦った様子で入ってきた。
「きょ、教頭先生!が、学園内から、生徒の死体が!」
「何ですって!」
女教師の言葉を聞き、その場にいた教師は皆、職員室を飛び出していく。
しかし、柴田はそうはせず。
不敵な笑みを浮かべ、パソコンに向き直る。
「やっとここまで来たんだね。狡噛慎也に、冷泉美護」
柴田はデスクの引き出しから、タンジーの押し花の栞を取り出す。
「この間のネリネの栞は、受け取ってくれたのかな」
そう。この男こそ、あの“槙島聖護”だ。
「まあいいさ。いずれ、会えるだろうしね。楽しみだよ」
怪しげに笑った槙島は、職員室を後にする。
誰もが息を呑む程の、その美しさ。それは、公安局執行官・冷泉美護もまた然り、なのだ。
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「説明のつかないことが多過ぎる。王陵璃華子の逃走経路、あの地下室の設備。どう考えても女子高生一人が賄いきれるものじゃない」
監査室で引き続き、王陵璃華子が写っているカメラの映像を見つめていると、宜野座さんがそう言った。
「裏に何かあるって、言いたいんでしょ」
「…ああ。ひょっとすると、お前らの言う通り…」
「おかしい」
急に慎也さんはそう、キーボードを叩き始める。
「どうした?」
「破損してるデータがある。さっき六合塚が検索したときには、どの録画も無事だった」
「美術室のカメラのデータ、集中的にやられてるねえ」
「全滅か……いや、こいつ。音声は修復できそうだ」
慎也さんは手首のガジェットから、修復した美術室の音声を流す。
〔何故、同じ学園内の生徒ばかりを、
その声を聞いた途端、全身に電流が走った。
〔全寮制女子学校というこの学園の教育方針を、“槙島先生”はどうお考えですか?〕
やはり、そうだ。
『君は、君の人生を歩むといい』
私がかつて、大好きで、
『僕と居たら君は、幸せになれない』
今では、大嫌いな、存在だ。
「槙島、聖護…」
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四葉(プロフ) - 明里香さん» ご指摘ありがとうございます!私の確認不足でした、、ありがとうございます(;_;) (2022年9月22日 23時) (レス) id: 743a108979 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 唐之森じゃなくて、唐之杜です。確認してください。 (2022年9月22日 22時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
ウサギさん(プロフ) - 初コメです。いつも楽しく読ませてもらっています。続編感謝しかないです! (2022年2月20日 22時) (レス) id: daf1a85970 (このIDを非表示/違反報告)
四葉(プロフ) - 凛さん» コメントありがとうございます(;_;)そのお言葉、とても嬉しいです^ ^ これからもよろしくお願い致します(/ _ ; ) (2021年9月21日 22時) (レス) id: 743a108979 (このIDを非表示/違反報告)
凛 - まじで更新ありがとうございます!!いつも楽しく読ませてもらってます( ; ; ) (2021年9月20日 21時) (レス) id: 0efd13f94b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:四葉 | 作成日時:2020年3月30日 23時