24:些細で不快な贈り物 ページ26
『君は君の正義を貫けばいい』
正義とは、一体何なのだろう。
『この世界の正義は、歪んでいるからね。誰かが変えなければならないようだ』
歪んでいるのは、オマエの方だろう。
『君との再会を楽しみにしているよ───美護』
「美護」
ぽん、と頭に手を置かれる。今私を呼んだのも
「体調が優れないか」
悩ましげな表情で私を見つめる慎也さんに、胸がときめく。
「どんな顔しててもかっこいいね、慎也さん」
「寝言は寝て言え」
雑に頭を撫でてから、慎也さんはガジェットで宜野座さんと連絡を取る。
スプーキーブーギーのアバターの持ち主であり、常守監視官の同級生でもあった菅原昭子が、害者になってしまった。
葉山の時と同じく、下水管から遺体の断片が見つかり。だがアバターはネットを彷徨き回っている。
作業する鑑識ドローンをじっと見る。ちっさ。
「死亡推定時刻は今日未明」
宜野座さんと連絡を取りながら、慎也さんが向けた視線の先には、俯く常守監視官。
きっと、責任を感じているのだろう。
私は常守監視官の側へ立ち、背に手を当てた。
今にも泣きそうな顔をしている監視官の頭を、私は何も言わずにぽんぽん、と撫でた。
「私の所為で…彼女を巻き込んでしまって。私が悪いんです。私のせいで……」
それでも尚自分を責める監視官。可哀想に。自分を責める必要なんて、無いのに。
「お前は、
「いえ…」
「協力を強制した」
「いえ……」
「彼女の情報を敵に洩らした」
「いえ………」
「じゃあお前の落ち度はどこにある。───今はただ、責任を果たす事だけを考えろ。犯人を追うぞ」
「詰まる所、仏の供養にはそれしかないんだよな」
「常守監視官」
ぽん、と肩に手を置く。
「慎也さんも言ってたでしょう?これは、私達全員の落ち度。今更悔いたって仕方ない。アナタだけが責任を感じる必要もない」
ほら行こう、と背を押せば「ありがとうございます」そう、強く微笑んでくれる。
監視官の後に続いて、私も行こうとした。コツン、と足首に何か当たった。鑑識ドローンだ。何やら持っている。
〔公安局の執行官 冷泉美護にコレをと〕
「へえ、なるほど」
鑑識ドローンからソレを受け取る。
ああ本当。心底反吐が出る。
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四葉(プロフ) - 明里香さん» ご指摘ありがとうございます!私の確認不足でした、、ありがとうございます(;_;) (2022年9月22日 23時) (レス) id: 743a108979 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 唐之森じゃなくて、唐之杜です。確認してください。 (2022年9月22日 22時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
ウサギさん(プロフ) - 初コメです。いつも楽しく読ませてもらっています。続編感謝しかないです! (2022年2月20日 22時) (レス) id: daf1a85970 (このIDを非表示/違反報告)
四葉(プロフ) - 凛さん» コメントありがとうございます(;_;)そのお言葉、とても嬉しいです^ ^ これからもよろしくお願い致します(/ _ ; ) (2021年9月21日 22時) (レス) id: 743a108979 (このIDを非表示/違反報告)
凛 - まじで更新ありがとうございます!!いつも楽しく読ませてもらってます( ; ; ) (2021年9月20日 21時) (レス) id: 0efd13f94b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:四葉 | 作成日時:2020年3月30日 23時