検索窓
今日:2 hit、昨日:7 hit、合計:48,974 hit

23:希望は希望のままか否か ページ25

常守監視官とスプーキーブーギーのチャットのログを洗い直す慎也さんの隣で、私は煙草を吹かす。

EXOSETの一件から、なんだかずっと、胸中がざわついている。おかげで一日に吸う本数が増えた。


ああ、もう。無性に腹が立つ。


「あ、あの。冷泉、さん」


呼ばれた方に顔だけ向けると、なんだかおどおどしている監視官。煙草の煙か、匂いか。どちらかが嫌だったのかもしれない。


「ああ、ごめんね。煙、嫌だった?」

「い、いえ!そういうんじゃなくて、その」

「何?」

「大丈夫、ですか?」


肺の心配をしてくれているのかなと、一瞬思った。けれど、多分、そうじゃない。分かっているけれど、悪戯心が勝ってしまって。


「はは。肺の心配してくれてるの?優しいねえ、常守監視官は」

「え、あ、あの、えっと」

「宜野座さんなんて、心配すらしてくれないよ。煙たい顔されるだけだから」

「は、はあ……」


「美護」


慎也さんは私を呼んだけれど、視線はディスプレイに向けられたままで。

はいはい、と。私は常守監視官に向き直る。


「ごめんね。意地悪しちゃった」

「え?」

「私は大丈夫だから。少し、疲れてるだけ。宜野座さん、全然非番くれないから」


内緒だよ?と人差し指を唇の前で立てれば、常守監視官は安心したような笑顔を見せた。


煙草を咥えながら、すすす、と慎也さんに近付く。

常守監視官が征陸さんに呼ばれて行ったのを見届けてから、耳打ちする。


「慎也さん」

「どうした」

「私、そんな笑えてない?」

「表情は変わらない」

「じゃあ、どうして監視官は気付いたの?」

「さあな。勘が良いんだろ」


まあ、と一瞬手を止めて。私の頭を撫でてくれる。


「無理はするなよ」


ふ、と優しく微笑んで、またディスプレイと向き合う慎也さん。本当に、ずるい人だ。


願わくば、ずっと一緒に居たい。


一刻一刻と迫るタイムリミットが、この世界の何よりも、私は怖くて堪らない。


弱気な想いは、煙と共に吐き出した。

24:些細で不快な贈り物→←22:無駄足は本当に無駄



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (40 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
118人がお気に入り
設定タグ:PSYCHO-PASS , 狡噛慎也 , 槙島聖護   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

四葉(プロフ) - 明里香さん» ご指摘ありがとうございます!私の確認不足でした、、ありがとうございます(;_;) (2022年9月22日 23時) (レス) id: 743a108979 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 唐之森じゃなくて、唐之杜です。確認してください。 (2022年9月22日 22時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
ウサギさん(プロフ) - 初コメです。いつも楽しく読ませてもらっています。続編感謝しかないです! (2022年2月20日 22時) (レス) id: daf1a85970 (このIDを非表示/違反報告)
四葉(プロフ) - 凛さん» コメントありがとうございます(;_;)そのお言葉、とても嬉しいです^ ^ これからもよろしくお願い致します(/ _ ; ) (2021年9月21日 22時) (レス) id: 743a108979 (このIDを非表示/違反報告)
- まじで更新ありがとうございます!!いつも楽しく読ませてもらってます( ; ; ) (2021年9月20日 21時) (レス) id: 0efd13f94b (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:四葉 | 作成日時:2020年3月30日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。