執行官ノ哀哭【PSYCHO-PASS】

18：かつての同志 ページ20

「仕方ないですよ。今はそういう(・・・・)世の中ですから」


舞い散る桜の花弁(はなびら)を、車に凭れかかりながらぼうっと見つめる。


「美護ちゃんはさ」


助手席から身を乗り出して、佐々山さんは私に問う。


「こんな世の中(・・・・・・)を、どう思う？」


ニタニタする佐々山さん。なんだか腹が立ってデコピンをお見舞いした。「痛ァッ？！なんで！？」顔が腹立つからですよ。


ふう、と溜息をついてから。答える。


「私は、嫌いですよ。正しいのかどうかも解らない。そんな世界を私は、好きになろうとは思えない」


でも、と。青空を見上げる。


「想い人に言われました。生きろ、と。私みたいな体質(・・)の奴は、可能性を秘めていると」


“想い人”ねえ、と強調して言ってきた佐々山さんに再度デコピンした。


「そして、カレ(・・)にはこう言われた。“答えは僕が必ず見つけてあげよう。近い将来、きっと”」

「信用できんの？ソレ」


佐々山さんは煙草を燻らせて、面倒そうに訊いてきた。私は佐々山さんに向き直る。


「信用なんて、最初からしていない。してたら私、公安局(ここ)にいませんよ」

「あははっ！それもそうだわ！」


いいねえ、そういうのと。佐々山さんは愉しそうに言う。佐々山さんのこういう所が、結構好きだったり。


「美護ちゃんやっぱりさあ」


まあ、次の台詞で前言撤回したけれど。


「超えろ可愛いよね。俺の彼女にならない？」

「頼むから一回死んでください」

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