執行官ノ哀哭【PSYCHO-PASS】

12 : 述べたい事はキッパリと ページ14

どうやらこの工場では色相判定の結果が全員に公開されるらしい。そして最新の計測値では、金原の色相は好転している。

濁りがピークだったのは「塩山の死の前日か」あ、台詞慎也さんに先言われちゃった。


「そんな…おかしいですよ。人を殺しておいて、サイコパスが寧ろ好転するなんて？」

「別におかしくはないでしょう。十分に有り得る事だと思うけど？そうだよね、征陸さん」

「どうしようもねえ娘だな、本当に」


そう頭を掻く征陸さんは、なんだかんだ嬉しそう。


「金原以外の職員は、金原を痛めつける事でストレスを解消してるんだ。なあにも不思議な事じゃない。サイマティックスキャンなんて無かった時代にゃ、別段珍しい話じゃ無かったんだぜ？」

「ふざけるな！」


あらま。また(・・)始まっちゃった。


「またお得意(・・・)の刑事の勘か！そいつは唯(ただ)の妄想だ！」

「妄想では無いと思いますけど」

「潜在犯が口出しするな！」

「だから(・・・)、妄想では無いって言ってるんですよ。宜野座監視官(・・・・・・)」


微笑んでみせるも、険しい表情を浮かべられた。駄目か。まあ、言いたい事は言えたから。よしとしよう。


「状況証拠に基づいた憶測で行動はできない。公安局(俺達)の任務はシビュラの判定した犯罪係数をもとに、社会の秩序を維持する事だ」

「社会の秩序、ね。笑っちゃいますね」

「冷泉、少し黙れ」

「すみません。可笑しくて、つい」


キツく睨まれる。本当怖いなあもう。


「1年に3人も死人が出るような秩序を、か？ギノ、俺にやらせろ。金原が黒なのかどうか、すぐにでも確証を掴んで」

「黙れ！」


宜野座さんが拳を机に叩きつけ、慎也さんを睨む。そういうこと、私を挟んでしないでほしいなあ。気まずいったらなんの。


「宜野座さん、ちょっと…」


少しの沈黙の後、常守監視官の消え入りそうな声が聞こえてきた。宜野座さんは渋々、だけど素直に、監視官と部屋を出ていった。


「私も慎也さんも黙れって言われちゃったね」

「ああ、そうだな」

「お揃いだね」

「お揃いだな」

「全然懲りてねえなお前ら」

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