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横を見ると、
僕の肩にもたれたAちゃんが規則正しい寝息を立てとった。
丸山「もう…寝てもうてるし……」
昔っから変わっとらんな。
豪快で、世話が焼けるところ。
そんなAちゃんがほっとけなくて、
好きになったんやもんなぁ……。
丸山「…………………」
幸せそうな寝顔を見とったら、
ダムが崩壊したかのように
しまい込んどった理性が、溢れ出した。
丸山「ずっと……好き、やってんで？」
Aちゃんを起こさないよう、思わず、その唇に顔を寄せた。
その間わずか数センチに迫ったそんな時…
A「んー…………裕、くん……」
Aちゃんの小さい寝言が聞こえて、
…これ以上、近づくことはできんかった。
丸山「あかんよ……」
僕はAちゃんから顔を離すと、
スマホを取り出しある人に電話をかける。
丸山「……あ、裕ちん？ごめん、こない時間に。Aちゃん酔っ払って寝てもうて、今から迎え来れる？……うん、そう、あの居酒屋近くの公園。…ごめんありがとぉ」
大切な人を思いながら眠る僕の大切な人の幸せを
…奪うことなんて、できない。
丸山「…おん、じゃあ待っとる」
電話を切ると、んっと小さく声を漏らしたAちゃんが目を覚ました。
丸山「あ、ごめん。起こしてもうた？」
A「ううん、大丈夫……てかごめん、寝てた…」
丸山「いや、ええよ。
…裕ちん、迎えに来てくれるみたいやから。あとちょっと待ってな？」
A「…ありがとう。丸ちゃん、優しいね……」
そう言って、再び僕の肩に体を預けるAちゃん。
丸山「…………ずるいわ、ほんまに」
どうか今だけは……
ひと時の幸せを、僕に味わわせてください。
……好き、やったよ。Aちゃん。
Aちゃんの重みを肩に感じ、
裕ちんの到着を待つ間、公園の花壇に咲く花を見つめた。
薄紫の花びらの、綺麗な花。
…なんて、花やろう？
花の知識なんてこれっぽっちも無い僕には
この花の名前なんてわかりもしなかったけど
……なんやか、幸せな気持ちになった。
Aちゃんはきっと……
今、幸せなんやろうな。
漠然とそないことを考えとったそんな時
ポケットに入れとったスマホが着信を告げる。
丸山「……もしもし裕ちん？」
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作者名：mi | 作成日時：2021年1月25日 18時
