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そんな葛藤の最中、そんな思いもつゆ知らず痺れを切らしたAが口を開く。


A「もー!早くしてよ〜!
このあと裕に告白の練習付き合ってもらおうと思ったんだから……」


何気ないAのそんな言葉で、
……俺の中で、何かが弾けた。



横山「……何でヒナやねん」


A「え?どういうこと……?」


横山「やから……」


……告白するなら、今しかないと思った。
けど……


横山「……ほら、ヒナなんか、ゴリラやし、銭ゲバやし、ガサツやん?
別にヒナやなくたってええんとちゃうか〜?って……」


……俺は結局弱虫で

Aに素直になれへん。


すると、黙って聴いていたAが静かに口を開いた。



A「……そんな風に思ってたんだ、信ちゃんのこと」


横山「え……」


A「最っ低…。裕は……裕だけは、私のこと応援してくれてるかと思ってたのに…」


その目からは、一筋の涙が流れる。


A「信ちゃんは、裕とは比べ物にならないくらい優しくて、いい人なんだからっ!
………裕のアホ」


この言葉を合図に迎えた、運命のタイムリミット。



A「……これで100回目だね。裕とのケンカも……もう終わり。今までありがとう」


目を潤ませながらわずかに微笑んだAは、逃げるように走り去っていった。


横山「ちょ、A!」


走って追いかけようと足を踏み出した俺やけど、

……その足を止めた。


横山「………………」


今ここで引き止めても、振り切られるだけやと思った。

こないこと言うつもりなかったなんて言っても、
聞いてくれるわけなんてない。

上手い言い訳やって見つからんし、


……ホンマに、素直になれへんかった自分を惨めに思う。


俺は……ホンマにアホや………。



このケンカは今までのもんとは比べ物にならんくらい大きくて

…簡単には、元に戻れないと思った。

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作者名:mi | 作成日時:2021年1月25日 18時

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