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Episode.1 ライラック × T.K ページ2

〜彼side〜


A「ご注文お決まりですか?」


神山「あ、えっと………」


とっくに決まってるはずのメニュー。
でも、少しでも長く近くに感じたくて、悩んだふりをしてみる。


神山「あ、じゃあ………キャラメルマキアート1つ」


A「キャラメルマキアートお1つですね、かしこまりました」

そう笑顔で去っていく背中を見送った。


……今日も、ダメだった。









A「ありがとうございましたー」


そんな元気な声が響く中、ゆっくりとカフェを出た。

………いい加減にしろ、自分。
いつまでこんなこと続けてるんや。


ウィンドウ越しの働く姿を見つめ、小さくため息をついた。


………彼女に恋をしたのは、今から2週間ほど前の話。


たまたま目の前を通っただけの小さなカフェ。
お店の前の花壇に、嬉しそうに水をあげる彼女を初めて見た時……
自然と、店内へと足を踏み入れとったんや。


…下心がないと言ったら、たぶん嘘になる。
けど、何気なしに頼んだキャラメルマキアートがこれまた絶品で、
気づけば毎日通うほどになってしまっとった。

……彼女とは、なんの進展もないけどな。









次の日も足を運んだいつものカフェ。
今日も、花壇の水やりをする彼女の姿が目に入る。

……彼女はきっと、花が好きなんやろう。


“花、好きなんですか?”

なんて、話しかけることができたら
どんだけ楽なんやろうな…………。

人見知りが災いする。






花壇への水やりを終え店に戻った彼女を見送った後、続けて店内へと足を運ぶのがいつものこと。


A「いらっしゃいませ」


今日もこうして、注文を取りに来てくれることはわかっとるから。


A「ご注文は」


神山「えっと…」


一応眺めるメニュー。
でも結局、今日もまたいつも通りの…


神山・A『キャラメルマキアート』


……そう告げた注文に重なった声に、驚きのあまり思わず顔を上げた。


神山「え………」


A「キャラメルマキアート、ですよね? いつもそれ、頼まれるから(笑)」


神山「あ……はい……」


A「いつもありがとうございます、お作りしますね」


そう微笑んだ彼女に、目を奪われた。



………今日は、いつも通りが少し違ったみたいや。

・→←〜プロローグ〜



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作者名:mi | 作成日時:2021年1月25日 18時

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