やっと卒業式2 ページ6
嫌な事を思い出した……と溜め息をつき、再び洋服選びを再開する。
卒業式は制服で参加するから、何故洋服選びをしているかといえば、その後、校長の思いつきで全員参加制の卒業パーティーがやるらしい。
面倒だな、やりたい人達で勝手にやっていればいい事を。
……あ、そうするとパリピとリア充と校長だけのパーティーになるだろうな。
パリピとリア充と校長だけのパーティーを想像して、プッと吹き出す。
久々に笑った気がする。
まあ、日時的な事で笑える要素なんて滅多に無いから、しょうがないのかもしれないが……にしても少ないか?
そんな事を思いながら、手当たり次第にワンピースやドレスを漁っていく。
赤、黄、青、緑……様々な色があるが、一向に決まらない。
まあ、ファッションやおしゃれに疎いのだからしょうがないのかもしれないが。
毎回どうしてただろうか、卒業式の服選び……確か芦屋が勝手に……あ、芦屋に選んでもらうか。
善は急げというから、直ちに芦屋に電話をかける。
2.3コールして、ガチャと電話が繋がる。
「…………もしもし」
「もしもーし、千紗だ〜よねっ? 珍しいしゃん、千紗からわざわざ僕に電話かけてくるなんてさ。何々〜、寂しくなっちゃったとか〜? カワイイとこあるね、千紗にしては」
いきなり凄い勢いのマシンガントークをかまされ、追い付けずに何も返答をせずにいると、好き勝手に色々言われた。
カワイイ……寂しくて電話した? いや、そんなつもりは一切ないのだけれども……と心の中で溜め息をつく。
そして、私は誤解を弁解すべく口を開いた。
「いやいやそうじゃなくて、卒業式だよ、卒業式。着ていく服いっつもアンタが選んでたでしょ? だから今回も頼もうかと……」
「あ、そーゆー事ね。オーケー、オーケー、まっかせといて!! とびっきり似合っちゃうの選んであげるからさ☆ 今家でしょ? 今からマッハで行くから待っててね〜!!」
うんと言う前に、どんどん話を進めて行く芦屋。
(コイツはJKか……?)と疑うようなコイツ、芦屋はまんまJK口調だが、芦屋はれっきとした成人男性、男である。
そして数十分すると、ピンポーン♪と呼鈴が鳴った。
私は、「早いな……」と一人苦笑しながら、玄関に向かうのだった。
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作者名:時雨 | 作成日時:2019年8月2日 14時