普通で阿呆な普段の生活2 ページ3
「え〜っと、これで……よし、終わった」
時計を見ると、かれこれ十分が経過していた。
あんなに沢山あった資料の束を、十分で片付けたのだ。
我ながらによくできたと思う。
そんな優越感に浸っていると、声を掛けられた
「千紗、さっきはゴメンな」
幼馴染であり、私の苦手な相手__ヒロこと、諸伏 景光が先程の件について、謝ってきたのだ。
幼馴染といっても、幼稚園、小学校、中学校、高校と全て同じクラスであるだけで、仲が良いわけでもなく、いつも笑顔の絶えない誰にでも優しい彼に、私が勝手に苦手意識を持っているだけだが。
はあ……気にしなくてもいいのにさ。
喋ったりする方がよっぽど面倒だし。
「……別にさっきのは貴方の所為じゃないから、謝らなくてもいいんじゃないの」
私が思った事をそのまま言うと、彼は困ったように微笑んで「でも……」と続けようとした。
もう許して欲しいのか、欲しくないのかどうなのかわかんないよねこれ。
「はあ……何で他の人がやった事に貴方が責任を感じる必要があるの? っていうかさっきやった人達も謝ってきたから……もういいでしょ」
これ以上話したくないし……と思ったが、周りの女子達の視線が痛いからやめておく事にした。
視線が鬱陶しいわ。
私からあからさまに嫌そうなオーラが出ている事を察した景光は、渋々降谷のところへ戻っていった。
そして、朝のホームルームが始まった。
先程からやけにチラチラと視線を感じる。
とても気分が悪いんだが。
私は手をスッとあげて、
「…………先生、気分が悪いので保健室に行ってもいいですか」
と、一言。
担任はまあ誰にでも……というわけではないが私はかなり良くしてもらっているので、まあ無愛想にしても問題はない。
担任は、いつもはそんな事を言わない私に珍しそうな視線を投げかけた後、
「諸伏、降谷、お前達は確か幼馴染だったな? 紅林を保健室に連れて行ってやれ」
と、景光と降谷を指名。
え……なんでよりによって"コイツら"なの。
「「わかりました」」
二人は息を合わせたかのように声を揃えて言った。
なんて事をしてくれるんだ。という意味を込めて担任をジト……と睨んだが、とうの本人はどこ吹く風で澄ました顔をしている。
「ほら千紗、さっさと行くぞ」
降谷の言葉で、はあ……と諦めトボトボと二人の後について行った。
6人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:時雨 | 作成日時:2019年8月2日 14時