＊２４ ページ24
.
彼の誕生日プレゼントを選びに私は学校帰りに街中を1人で歩いていた。
「ペアリングなんて渡したら、重いとか思われちゃうかなぁ…」
「お揃いのストラップ？んー、ショボい？」
ジミンはオシャレだからそんな低クオリティーのものなんてあげられないし、私は独断で決めていいものか不安になってきた。
「あ、」
ふと、目に入ったのはとあるジュエリーショップ
の、ピアスだった。
「綺麗…」
導かれるように私の足はお店の中へと踏み込んで行った。
『いらっしゃいませ、何かお探しですか？』
『あ…えっと、誕生日プレゼントを…』
『お友達ですか？それとも恋人へのプレゼントですか？』
『え…っと、こい、びと…かな、』
いざ恋人なんてワードを自ら口にすると恥ずかしくてたまらなかった。
そんな私を見てくすりと笑った店員さんは
『こちらでしたら男女兼用としても身につけられますので、お揃いとしてもいいと思います。』
と、小さめのリングのピアスを勧めてくれた。
キラキラと光るそのピアスは、これからの不安とは裏腹に、とても力強く輝いて見えた。
.
サプライズ前日
『んで、ユンギヒョンがジミナを連れ出してる間に、俺がソユナを迎えに行く！行く前連絡するからしっかり準備しといて！』
『う、うんわかった』
『宿舎入ったらソユナは即でっかいダンボール入ってね！』
『あ、は、はい』
『よし…前日打ち合わせは以上です！』
少年のようにその日のイメージを語るテヒョンの話を聞いてたらなんだかワクワクしてきた。
今は、今のことだけを考えよう
今は、彼が幸せな誕生日を過ごすことだけを考えて、彼の幸せだけを考えて、それで…
『だって僕そもそも日本嫌いだし。』
ふと彼の言葉がよぎる。
あの日彼が放った言葉は、想像以上に大きな傷跡として心に残ってしまった。
日本人の私といることは、彼にとって幸せなの？
彼の幸せを一番に考えたい
ずっと彼に笑っててほしい
私が
私が、韓国人として生まれていたら。
彼の幸せともっと素直に正直に寄り添えたのだろう。
彼を幸せにしてあげたいと思えば思うほど自分の存在の遠さがつらい。
近いのに遠くて、だけどどうすることもできなくて。
『…ソユナ？どした？』
電話越しにテヒョンが尋ねる。
『ねえテテ…』
『ん？』
.
『どうして私は、日本人なんだろうね？』
スッ、と鼻筋を一滴の涙が伝った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 4874人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「BTS」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Caesar(プロフ) - 最高！！最高です！まず何より、ジミンとの出会いのところからストーリーがリアルで実際にありそう、って簡単に想像できるし、留学生のつかの間の恋、っていうシチュエーションがスパイスになってて、内容をより緻密なものにしてると思います。本当にただただ脱帽です (2022年10月14日 13時) (
レス) @page4 id: 0b14e887c8 (このIDを非表示/違反報告)
mii - 作者さんの文章能力が凄すぎて（言葉の工夫の仕方？とか）とても感動する作品でした😭 表現の仕方とか美しくて泣きました😂 (2021年11月29日 2時) (レス) @page50 id: c1d26c370e (このIDを非表示/違反報告)
ぱんぴー(プロフ) - 反日でも仕方ないよなって思っちゃうやっぱり、素敵な作品でした！ (2021年9月29日 14時) (レス) @page50 id: ddd3529158 (このIDを非表示/違反報告)
みう - これで読むの5回目です。BTSに会いたい・・・ (2021年8月27日 22時) (レス) id: 9b0cace171 (このIDを非表示/違反報告)
みう - 私はジミンがすごい大好きで夢小説わ見るとすごい楽しくなりました。私も韓国人だったらと思いましたまた書いてくれると嬉しいです。泣きそうでした。けど泣きました。 (2021年8月27日 22時) (レス) id: 9b0cace171 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：いと
| 作成日時：2017年8月31日 1時
