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無惨から更に血を分けられたその日、桜妃はより強大な力と強固なカラダを求めて人里に降りてきていました。
山の麓にある村は小さいものの、なんとも惹かれる匂いが漂っているのを彼女は嗅ぎつけていました。
そう、稀血の人間がいるのでございます。
──────────鬼のお食事場面は言うまでもなく残酷なものですので割愛させていただきました。
桜妃が口の端についた血も余すことなく胃に収めた直後。黒い服を纏った集団…鬼殺隊が今まさに刀を抜き彼女の立つ場所へと駆け出しているところが目に飛び込んできます。
無惨がよく褒めている細長の瞳孔を閉じ込めた裏葉色の瞳がゆーっくりと、川に架かった西洋の石橋の如く歪んでいきました。
しかし、その目に捉えられたのは鬼殺隊でも、今まさに己に振るわれようとしている日輪刀の切っ先でもありません。
山の頂上が陽の光で縁取られていこうとしていたのです。
なかなか外へ出ることの無い彼女でも本能で察しました。太陽が登れば自らに命はないと。
次の瞬間、桜妃の近くにいる隊士の首は掻き切られて空には朱が舞っていました。
その光景を目にして、他の隊士はたじろぎ腰を抜かします。
どうやら、実戦慣れしていない隊士達のようでした。
今回ばかりは運に味方されたと、木々のあいだへ桜妃は消えていきました。

陸→←肆



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作者名:白桃。 | 作成日時:2020年1月12日 14時

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