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「桜妃、今日は私の贈った着物を着ているのだな。」
「はい、いつもわたくしの嗜好に合ったお着物をくださるのでとても嬉しゅうございます。」
無惨様は何度もハイカラなお着物をわたくしめに下さるので、此処へ来てから何を着ようかが愉しくて仕方がありません。
「そうか、お前は人間を腐るほど食べられる。
もっともっと強くなれ。」
と、顎をその美しい指先で撫でられました。
「有り難きお言葉。邁進して参ります。」
その言葉を聞いて無惨様は満足気なお顔をなさると、おもむろに先程まで顎に在った手を当たり前かのようにわたくしの口に突っ込みました。
思わずえずいてしまいそうになるのを堪えると何度目か分からない、苦しみと高揚感に襲われました。
無惨様曰く、わたくしは血に順応するのがはやいらしく少々の損傷を負うだけで格段に強くなれるのだそうです。
それでも、形容しがたい脱力感で倒れ込むわたくしの上で今晩の月のように無惨様の唇は弧を描いておりました。

伍→←参



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作者名:白桃。 | 作成日時:2020年1月12日 14時

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