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女は、感じたことの無い程の苦痛に身を捩らせました。
う、だのく、だのと言葉にすることの出来なかった音が喉から出てきます。
けれどもそれは次第に高揚感へと変化し、彼女は無意識に着物が汚れるにも関わらず地に膝をついて、同じく地面にめり込むほどの勢いで頭を垂れました。
そんな琴枝、いいえ、桜妃の姿を見て白の帽子をかぶった鬼は口許に、小さな笑みを湛えたのです。
──────────────────────────────わたくしは桜妃。桜並木のもとで生まれた、何故か唯一無惨様の御名前をお呼びすることのできる鬼にございます。
あれからと言うもの、文字通り山ほど人を喰らって生きておりました。
微かに残る記憶の中では体験したことのないことで、血が湧き上がるような、心臓が掴まれるような、えもいえぬ快感をおぼえたわたくしのカラダは病弱だったあの頃とは違い、有り余る程の力を抱えています。

「今晩は、無惨様。」
鳴女さまの琵琶の音と共に、今宵も麗しい御姿で無惨様はわたくしの部屋へいらっしゃいました。

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作者名:白桃。 | 作成日時:2020年1月12日 14時

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