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拾肆 ページ14
部屋が花浜匙で溢れかえった頃。
｢───はあっ、 はぁ……｣
桜妃は屋敷を飛び出して、右も左も分からぬまま木陰に隠されながら山を駆け下っていた。
夜の帳が下りるころには民家もちらほらと現れだしていて、彼女はほっとしかける。
だが、残念ながらこの集落は過去の桜妃が潰してしまっていた。
｢何処へ行けばいいの……｣
鬼の中でも感情に似たものが豊かな彼女は、今にも泣き出しそうな弱弱しい声をだす。
己がただ、ふらふらと彷徨い続けることになってしまうかもしれないと、桜妃が自分の身を案じ始めたとき。
───微かな光が彼女の十尺、3メートルほど先を照らした。
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作者名：白桃。 | 作成日時：2020年1月12日 14時
