10.黙って甘えとけ ページ10
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大丈夫だよ。俺は痛覚は感じない。
感情だってプログラムされてないよ。え？なんで笑えるのかって？
…笑うプログラムは最初から装備されてるよ。
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カズは最寄りのスーパーに行くまでに、腑に落ちない私にそう言い聞かせた。
痛覚は感じない。確かにそうだろうけど。なんかしらの感情は動くんじゃないのって思ったら
感情はプログラムされてないと言う。そこを見ると、やっぱり彼は機械なんだと思った。
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カズ「お。卵安売りしてる」
「スーパーなんか久しぶりに来た……」
カズ「何が好き？」
「……卵焼」
カズ「却下ー！毎日食ってたら体に悪い」
「……アスパラをベーコンで巻いたやつ……」
カズ「金がかかんなくて楽ね(笑)」
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カズはくははって笑いながら、アスパラやらベーコンやらをカゴに入れていく。
それから他の食材とかも入れて。時々目を閉じるのは、頭の中で情報を処理しているからなのか。
私はよくわからなくて、カズの背中をじっと見た。
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ーーー…何が違うんだろう。
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ちゃんと人と同じで動く。喋る。表情も豊か。(有料化すればだけど)
きっと抱きしめたら、背中は柔らかくて温かい。物理的には冷たいけど
きっと、あったかい。
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カズ「じゃあ、帰ろっか？」
「あ！待って！待って！これ買う！」
カズ「なに」
「カズ、食べれるんだよね？」
カズ「味覚は感じるよ」
「じゃあ、これ。一緒に食べよう」
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じゃーん！って出したのはファミリーパックのピノ。
カズはそんな私を見て、おかしそうに笑うと「カゴに入れなさいよ」ってカゴを差し出してきた。
やったやったって隣ではしゃぐと、「シー…」ってカズが鼻に指を添えて内緒のポーズをする。
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くっそう！かっこいいな！
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うう、と嘆いていると気づけば会計は終わっていてカズがスーパー袋を両手に抱えて「行こう」と促す。
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「え！私も持つ！」
カズ「いーよ。別に。重くないし」
「いや持つよ！」
カズ「重さ感じねーもん。いいよ」
「でも…」
カズ「Aは女の子なんだから、黙って甘えてればいーの！」
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カズはそう、ふふんと笑って
私の二歩先を歩いた。
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11.そういうの専用の。→←09.気持ち悪くなんかないの、あなたは
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