06.甘いのは嫌い ページ6
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カズは優秀なアンドロイドだった。
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「…え。」
カズ「おはよ」
「…なにこの美味しそうな料理……」
カズ「冷蔵庫の中にあった死にかけの材料で何作れるかなって脳内検索してみた」
「脳内検索…」
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1日目の朝。美味しそうな匂いで目覚めると、昨夜無理やりベッドに入ってきたカズはいなくて
むくり…と起き上がると「おはよう」ってにこやかに微笑みかけてきたカズ。
その手には一人分の朝食。私はベッドから飛び跳ねて、テーブルの方へと向かった。
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「すごい…。まともに朝ごはん食べるの久しぶり…」
カズ「いつもじゃあ何食ってんの」
「……コーヒー……」
カズ「それ食ってねえじゃん！」
「たべてるよ！」
カズ「咀嚼してねーじゃん！」
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うるさいな！って怒って、箸を取る。そんな私をニコニコと嬉しそうに見つめるカズ。
テーブルに向き合うように座ってるから、非常に……食べにくい。
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美味しそうな卵焼きを箸で取ろうとした時。重要なことに気づいた。
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「ねえ。この卵焼き、甘い？しょっぱい？」
カズ「甘いけど」
「そっか……」
カズ「……きらい？」
「いや嫌いじゃないけど。甘いの食べないの。だってご飯なのに甘いっておかしくない？いつもはしょっぱい派」
カズ「……データに登録しとく」
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カズは少し、しょんぼりとした様子で目を閉じる。きっと脳内にデータとして登録しているのかもしれない。
私はそんなカズを見ながら、一口。卵焼きを口に含めると、途端にふわっと広がる甘み。
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「ね！カズ！」
カズ「……」
「ねえ！カズ！？」
カズ「えっ？あ、ごめん。データ整理してた」
「これ！美味しい！卵焼き！」
カズ「マジ？」
「マジマジ！今まで食べた卵焼きで一番美味しい！甘い方が好きかも…。うそ…今までの卵焼き人生覆された感…」
カズ「んな大げさな」
「今度から卵焼きはこれと同じの作って！なんならレシピ書いといてよ」
カズ「わかった」
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カズはんふふと笑うと、嬉しそうに他のものを食べる私を見つめる。
私の、アンドロイド。
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