04.ドライヤー ページ4
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説明書を隅々まで読むと、なんとなく理解が出来た。
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カズは恋愛シミュレーションアンドロイド、という立ち位置にあるらしい。私が選んだらしいんだけど全く記憶にない。
申し込み日時を見たら、私が仕事の飲み会で散々な日で確かに申し込んだ可能性が高い。『レンタル』の方で良かったとつくづく思った。
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カズは基本機能はもちろんのこと、普通に買うと有料なオプションも無料で使える、そんな素敵なアンドロイドらしく。
家事はもちろんのこと、その……色々を。出来るらしくて少しだけ顔が赤くなった。
期間は1週間。夏の終わりに、とんでもないものがやって来た。
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「ねえ、カズはお風呂入れるの？」
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シャワーを浴びて、バスタオルで髪の毛をゴシゴシと私が拭いながらリビングに戻ってくる。
すると、私の録画してたドラマを勝手に見ていた。アンドロイドだから機械は友達らしい。
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カズ「入れるよ。なに、一緒に入りたいの？」
「ばっ……！ち、違う！入らない！たっ、ただ防水なのかなとか！そういうこと！」
カズ「なぁんだ残念。入れるよ。防水機能もちゃんと搭載されてる。なんなら海水もイケる」
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へえ…、って感心しながらドライヤーをしようとしたらソファからやって来たカズがドライヤーを奪い取って
スイッチを入れる。「え？」って思ったらカズは私を近くの椅子に座らせて、私の髪の毛をくしゃくしゃとして
ブオオ…って乾かして行った。便利だなアンドロイド。
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「……ん」
カズ「……耳弱いの？」
「…っ、カズはそうやってまた！そういうことしか考えないの！」
カズ「くはは！ごめんて！(笑)」
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ドライヤーをしてもらってる時に、人間となんら変わりない感触の手が耳に当たって
くすぐったくて、思わず声を出してしまったら言われた言葉。
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「カズは…汗は掻かないのか」
カズ「掻かないねー。ホコリは被るけど」
「お風呂入る？」
カズ「え？」
「だって嫌でしょ、汚いの。え？」
カズ「……優しいのね、あなた」
「はい？」
カズ「だってフツー機械相手にこんなことしないでしょ」
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カズはそう愉快そうに笑って、私からバスタオルを取ってシャワーへと向かった。
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