26.壊れてしまうキス ページ26
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ポロポロ。ポロポロ。
零れる涙の結晶に、カズはそっ…と触れた。
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カズ「俺は泣けないから、俺の代わりに泣いてよ」
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ふふ…、って笑って私の頭を撫でるカズの手は冷たい。
ちゅっ…って涙が伝う頬に、涙を吸うようにキスをするカズの唇も冷たい。
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古い機械を好きな人もいるよ。ちゃんといる。
なのに廃棄されちゃうの？なんで？
こんなに優秀なのに。
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アナタは、確かにここにいるのに。
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カズ「もうそんなに泣くなや(笑)」
「…ぅ…っく」
カズ「いいね。人間」
「……っ」
カズ「生まれ変わったら人間がいいなぁ」
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そう笑って、私の肩を引き寄せ
ぎゅっ…と抱きしめる。するとふわっと香るのは私のシャンプーの匂い。
私の、アンドロイド。
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「……っそつき…」
カズ「ん？」
「嘘つき…、ずっと一緒にいてくれるって…、さっき…約束したじゃん…」
カズ「いるよ？」
「……どうやって！嘘つかないでよ…！」
カズ「ちゃんと、あなたのそばにいるから」
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視界がぼやける。涙が止まらない。
世界がボヤけて、よくカズの顔が見えない。見えないけれど
泣きそうな最高の笑顔で、私を眺めているのはわかる。
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カズ「……感情があるってことは」
「……っ…？」
カズ「…ううん、なんでもない」
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愛おしそうに、私の髪の毛を撫でるカズは
そのまま甘い憂いを帯びて、顔を傾ける。
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静かに瞼を閉じると、残っていた雫がつぅ…と頬を流れた。
その涙を隠すように、カズは私の唇を塞いだ。
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この感触を忘れないように。
忘れ難くないように。
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なんども。
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何度も何度も何度も。
飽きることなく重なる唇は、ちょっとしょっぱくてヒリヒリする。
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たまに目を開けると、彼も目を開けていて色っぽく微笑んだかと思ったら
また顔を埋めるようにキスをした。
ずっとキスをしてると、彼の唇が熱を持った。
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無くならないように
私は必死で彼の唇を追いかけた。ギュッと服を掴めば、彼は私を抱きしめた。
壊れるほどに、彼を確かめた。
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