23.二人っきりになれるトコ ページ23
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どんなにモデルのようにスタイルがいい人が黄色い声をあげても
どんなに可愛い女の子たちがキャアキャアしてても
どんなに胸が大きいお色気むんむんのお姉さんが見惚れても
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カズ「海ん中にいるみたい…」
「水中トンネルだもんね。私ここが一番好き」
カズ「スゲェな…」
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カズは私の手を離さないで、私だけを見ていた。
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近くの水族館。可愛いペンギンのストラップが売ってたりする、そんな有名なところ。沖縄には負けるけど。
そんな水族館の水中トンネルに来ると、途端に目をキラキラさせるカズ。
そんな姿が子供っぽくて、思わず苦笑い。
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「カズでもそんな目するんだね」
カズ「え？」
「ううん、なんでも(笑)」
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ふふ、って笑って手をぎゅっと握り直すとカズは宝物を見つめるように私を見て
何も言わずに、ぎゅう…と手を握ってくれた。
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休日なのに、今日はあんまり混んでいなくて
その上、今は屋外でイルカショーをしているからか水中トンネルにはあまり人がいなかった。
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カズが水中トンネルに気を取られてる間に、私は頭の中でこれからどうするかを考える。
カズのお試し期間はあと何日？あと何日この人といれる？
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カズは私から戻ったら廃棄されてしまうのだろうか。
こんなに優しいのに？
こんなに素敵なのに？
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それとも、戻ったとして。廃棄されないとして。
私のことは忘れてしまうのだろうか。
記憶はリカバリされてしまうのだろうか。
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カズの中に「栗原A」は
残らないのだろうか…。
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カズ「…ねえA？」
「…えっ？…ん？なに？」
カズ「二人っきりになれる場所に行きたいな？」
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コテン、と可愛く首を傾げるカズ。
いきなり何を言うかと思えば、なんていうかよくわからないご注文。
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「水中トンネルはもういいの？」
カズ「お腹いっぱいよ、もう」
「二人っきり…？」
カズ「そう。あなたと」
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そう見つめてきたカズの瞳の色は、勘違いかなんなのか。
とても真っ直ぐで
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「わかった…」
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私は首を縦に振るしかなかった。
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