20.思わぬ優しさ ページ20
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カズ「俺じゃなくても、他にもいっぱいあるよ。アンドロイド」
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私はカズのこの顔が好きじゃない。
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ちょっと切なげに眉毛を下げた、喜怒哀楽の「哀」の顔。
作り物だと頭の中でどれだけ言い聞かせたって、彼が作り物だなんて信じたくなかった。
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「えー…買うならカズがいい」
カズ「なに。ローン組むの？(笑)」
「うーん…。でもカズがずっといてくれるならローンぐらい組む」
カズ「んふふ、嬉しいこと言ってくれんね」
「節約しなきゃなー」
カズ「顔は選べるよ」
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カズはそう笑うと、もう食べ終わった皿を手に取って立ち上がる。
それから私に背を向けて「今日は天気がいいから混んでるみたいよ」と頭脳検索結果をいう。
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…なんか今、かるーく濁されたような。
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ちょっとした違和感を胸に覚えて、それを吐き出すようにメイクをした。
カズが「派手なのは好きじゃない」って言うからナチュラルに。アンドロイドなのに好みもある。
それってオプション？っていうと、「うん、そうだよ」と笑うから
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嘘なんだと思った。
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「天気がいい！」
カズ「だからそれさっきも言ったじゃん」
「アイス食べようよー」
カズ「はいはい」
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大きな公園。広場といったほうが正しいか。そんな広場に行くと休日だからか家族連れや恋人たちでいっぱいで
ワゴン車のアイスクリーム屋さんを見つけた。
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私はカズの腕をグイッと引っ張って、走り抜ける。ヒールは今日は高くない。だから痛くない。
カズの服は、いかにもラフな格好で「え」ってなっちゃうはずなのに
カズが着こなすと、どうもおしゃれに見えてしまうから不思議だ。
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「ね！何食べる！」
カズ「俺は何でもいいよ」
「うーん…」
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メニュー表を見て、うーんと悩む。
キャラメルバニラもいいけど、メープルもいい。どうしようかなって首を傾げた瞬間。
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カズ「キャラメルバニラとメープル。シングルで一つずつください」
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隣に立っていたカズが、サラッと店員さんにそういった。
え、って目をぱちくりさせるとカズはニンマリと笑った。
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…読まれた。
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