【FHQ】紅の魔法と蒼の魔法

　　　　 シャルロ ページ35

朝、Aは誰よりも早く起きたつもりで外に出た。




王宮の庭に出ると、そこにはアカアシが立っていた。



「A様。――一ついいですか？」


「あ、あぁ。なんだ？」



アカアシは目を瞑り、左手を胸に当てた。


はぁー…と息を吐き出し、アカアシは言った。


「シャルロッ」


すると胸から蒼い羽のようなものが出てきた。


「それは？」


「これは…神鳥の魂です。シャルロというのは[魂]という意味です。」


アカアシは[神鳥の魂]をAの掌にそっと乗せた。


「これは…どういうことだ。」


「俺の使命は魔族を滅ぼすこと。
　今回、魔族を滅ぼしたとしても使命を果たした俺はどちらにしろ死にます。
　この[神鳥の魂]は、力を何倍までにも上げ、全回復してくれます。
　その代わり、使った時点で俺の命は終わります。」



「――いいのか。お前。」



「いいんですよ、もう。俺も終わりにしたかったところですし。
　――この世には、もう俺は必要ないですから。」



アカアシは切なそうに微笑んだ。

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