第三章 青いクリスタル ページ38
どこからか草笛の音が聞こえる。
俺はまだ完全に目覚めていない体をゆっくり起こしながら周りを見渡した。
結構広い丸太小屋らしい。
ベットの横には 誰かが看病していたのか、椅子と机の上に 水の入ったタライが置いてあった。
体の節々が痛みながらも、俺は壁に掛けてあった鏡を覗き込んだ。
頭と右腕が包帯でぐるぐる巻きにされ、左頬には湿布だろうか。
俺は部屋を出た。一層、草笛の音が大きくなった。
どうやら、音は二階から聞こえてきている。
二階に上がり、音のするテラスに出た。
すると、まだ登ってきたばかりの太陽の日差しを浴び、金色に輝く愛しい君が、目を瞑り、心地よい音色を奏でていた。
この曲は、ずっと昔に…聞いたことがある。
不意に、いつも感じる温もりがないことに気づいた。
ケンタロウ…？
――あぁ、そうだ。
――オレが殺したんだ。
――オレが。
――この手で。
俺は右手を握り締めしゃがみ込み、涙を流した。
――いつの間にか草笛の音は消えていて、森の木の葉がざわめく音だけが聞こえた。
そして、背中にぬくもりが。
「ハジメ……」
Aが背中から抱きしめていた。
「ごめんね。」
そう耳元で囁くと、離れた。
首に何かをかけられた。
青く光るクリスタルのようなものに金具を付け、それに糸を通したネックレスだった。
「これね――。」
Aは震え声で言った。
「完全に成仏してしまう前に、ケンタロウが残していったの。」
嗚呼、たしか魔族は成仏する前の生物の魂と短時間だけ会話ができるんだっけ。
「それでね、最後に自分の亡骸をクリスタル化してくれと言ったの。必ず役に立つって…」
魔犬も魔力は持っている。
恐らく、魔力と亡骸を一緒にクリスタルにしたのだろう。
俺はクリスタルを握り締めた。
「絶対に…オイカワを倒してやる!!」
その時、ケンタロウは似合わない青色の光を放って笑った気がした。
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クロト@関(プロフ) - とても素晴らしい作品です！とっても面白いです！更新応援してます！これからどうなるた楽しみにまってます！頑張って下さい！ (2014年11月17日 19時) (
レス) id: 0dd27e88b2 (このIDを非表示/違反報告)
衣咲(プロフ) - 咲さん» コメントありがとうございます!!更新頑張りますヽ(´▽｀)/ (2014年11月17日 18時) (レス) id: d660821c40 (このIDを非表示/違反報告)
咲 - もう毎日更新されるのが楽しみです!!! (2014年11月16日 19時) (レス) id: bfbd51f8b6 (このIDを非表示/違反報告)
衣咲(プロフ) - 桜音さん» コメントありがとうございます!!まだまだこれからですよッ! (2014年11月15日 17時) (レス) id: d660821c40 (このIDを非表示/違反報告)
衣咲(プロフ) - Ｙさん» コメントありがとうございます!!続編行きますので、これからもよろしくお願いします♪ (2014年11月15日 17時) (レス) id: d660821c40 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：衣咲 | 作成日時：2014年11月7日 19時
