仔犬・ケンタロウ ページ29
兄の目を盗んで、一度だけ城を抜け出したことがあった。
その時、すぐ近くの岩場で小さな、傷ついた子犬が震えながら丸まっていた。
「大丈夫?」
そう言いながら、私は仔犬に手を伸ばした。
すると、子犬は急に牙を剥き ヨレヨレになりながらも立ち上がった。
「うわっ、こっこの!!魔法で・・・」
「A、それじゃダメだ。怯えてるじゃないか。」
ハジメは、仔犬と目線を合わせるためにしゃがむと言った。
「こういうのは魔法でなんとかしようじゃないんだ。
素で相手を受け止めるんだ。そうすれば、必ず相手は自分を…信じてくれる。」
そういうと、ハジメは少しずつ近寄り、仔犬の顎の下を撫でた。
すると子犬はそのまま撫でられ続け、しばらくするとハジメの足に擦り寄ってきた。
ハジメはヒョイと、その子犬を抱き上げると岩場の外へ出た。
私もハジメの後を追った。
あとで気づいたのだが、首からペンダントがかかっていて、それにはケンタロウと書かれていた。
城に連れて帰り、私の部屋で治療を行っているとき、ハジメは言った。
「こいつさ、Aが頭撫でようとして手を挙げたのを、殴られるのだと勘違いしたんだと思う。」
「え?」
「前、俺の村の連中が 何かをいじめてるのを見たんだ。きっと、こいつだったんだと思う」
ハジメは薬が効いて、眠っている子犬を撫でながら言った。
「これからはオレが守ってやるからな。」
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クロト@関(プロフ) - とても素晴らしい作品です!とっても面白いです!更新応援してます!これからどうなるた楽しみにまってます!頑張って下さい! (2014年11月17日 19時) (レス) id: 0dd27e88b2 (このIDを非表示/違反報告)
衣咲(プロフ) - 咲さん» コメントありがとうございます!!更新頑張りますヽ(´▽`)/ (2014年11月17日 18時) (レス) id: d660821c40 (このIDを非表示/違反報告)
咲 - もう毎日更新されるのが楽しみです!!! (2014年11月16日 19時) (レス) id: bfbd51f8b6 (このIDを非表示/違反報告)
衣咲(プロフ) - 桜音さん» コメントありがとうございます!!まだまだこれからですよッ! (2014年11月15日 17時) (レス) id: d660821c40 (このIDを非表示/違反報告)
衣咲(プロフ) - Yさん» コメントありがとうございます!!続編行きますので、これからもよろしくお願いします♪ (2014年11月15日 17時) (レス) id: d660821c40 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:衣咲 | 作成日時:2014年11月7日 19時