舞 ページ28
昼
スウォンは緋龍城の正門前にいた。
ヨナやハク、姉のAのことなどを思い出し、意志を強めていた。
やがて門が開かれ、スウォンは中へと進んだ。
そこには人がずらりと並び、各部族が将軍を前に整列している。
階段を上り頭を下げる。
年老いた官が、スウォンの頭に王冠を乗せた。
スウォンは振り向き、真っ直ぐ前を見据えた。
「五部族証人の元、ここに空の部族第11代目スウォン新王陛下が即位なされた。」
そして各部族の将軍が、一人一人前に進み出て頭を下げる。
祝いの言葉を言っては下がっていくという単純なものである。
風の部族は長老、ムンドクが前に出た。
「ご存知のようにこの城には今、神官様がいらっしゃらない。
ですが、天の神々は見ておられる。
陛下が何の犠牲の上に何をなさるのか、
この老いぼれもそれを見届けてから、先に逝かれたイル陛下のもとへ参る所存です」
「ムンドク様」
ケイシュクが何かを言おうとしたが、それはスウォンの言葉によりさえぎられた。
「あなたには見届けていただきたい。ムンドク長老。
しかし、見ているだけの天など、私には何の意味もありません。
ほしいのは神の力ではなく、人の力なのだから。
私はこの高華国を先々代王のような強国へと再生させる。
立ちふさがるようなものがあれば、たとえ神でも ねじ伏せる」
スウォンがそう言いきったとき、一羽の烏が空を舞った。
「カァーッ!!」とまるでそれは、スウォンの即位を祝うように。
烏は人の目を集めながら、スウォンの頭の上まで来た。
そして一気に急降下すると、一枚の黒い羽根を落とし ケイシュクの肩にとまった。
「この黒烏は……ッ」
「――えぇ、間違いないでしょう。A様の烏です」
その言葉に、人々にざわめきが起きた。
「なんと・・・生きておられたのか?」
「ヨナ姫の捜索中に事故で亡くなられたと聞いたが……。」
ケイシュクはざわめきを抑えるべく、前へ進みだした。
「お静かにッ……!!」
その直後、烏は羽ばたく素振りを見せた。
「お前は先に城に戻りなさい。」
ケイシュクの言葉に烏は飛び立った。
戴冠式はまだ終わってはいない。
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衣咲(プロフ) - 咲さん» おぉ咲さんじゃないですか。いつもありがとうございますっ。ケイシュク参謀の出番が増えることを祈ってます(( (2015年1月12日 15時) (レス) id: d4d3594d34 (このIDを非表示/違反報告)
咲 - 衣咲さん!赤青シリーズ全部見てます!暁のヨナも書いてたんですか!僕も暁のヨナのマンガとかアニメとか見てます!ケイシュクさん,確かにカッコイイですよね! (2015年1月11日 22時) (レス) id: bfbd51f8b6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:衣咲 | 作成日時:2015年1月7日 9時